コニャック滞在記2023年 冬

コニャック滞在記2023冬⑥ジャンフィユーのパスカル氏とコニャック分析機関へ初潜入

2023年2月14日

滞在3日目その2
2023年1月13日(金)午後

午前中にFanny Fougeratテイスティングを早めに終え、予定よりも時間が余ってしまったのでコニャック市街地を散策した後アパートに帰ろうと帰り道を歩いていると、とある建物からどこかで見たことのある方が・・・

あれは・・・日本でもお馴染みグランドシャンパーニュの有名生産者「ジャンフィユー」の4代目当主パスカル・フィユー氏ではないですか、もしかして!!?

偶然に偶然が重なった出会い

そう、なんとこの日、偶然にもコニャック市街地の道端でパスカル氏とばったり出会ったのだ。

ご迷惑かと思いながら、思わず声をかけずにはいられなかった・・・。「すみません、もしかしてジャンフィユーのパスカルさんですか??(英語)」と。

突然見知らぬアジア人に話かけられて少し困惑気味のパスカル氏。そりゃそうだ。突然すみませんでした。。。

私自身も心を落ち着かせ、日本からコニャックの勉強をしにやってきたこと、来週ジャンフィユー家に訪問する予定があること、突然話かけてびっくりさせてゴメンなさい・・・ということをお伝えし、少しお話をさせて貰えることに。

パスカル氏と記念撮影。

「よく私が分かったね(笑)」とパスカル氏。

「日本ではジャンフィユーとても有名で、写真で何回かお顔を拝見したことがありますのでバッチリおぼえていました!」

と答えましたが、パスカル氏だと分かったのは写真での記憶以外にもう一つ理由がありました。それはパスカル氏が出てきた建物。

ここはChristian Lacroixというコニャックの成分分析を行う研究機関なのです。この施設から出てきたことで、コニャック生産者の方だという確信をもてました。

Christian Lacroixオフィシャルサイト

場所はこちら。ちょうど私が滞在しているアパートのすぐ近くです。

BNICから認可を受けて分析を行う研究機関

ここChristian Lacroixは主にコニャックAOCを管理するBNICやコニャック生産者から依頼を受け、コニャックの成分分析を行う機関。ここでは小さな生産者では分析できない様々な項目を分析器にかけて、コニャック内に含まれる細かな要素を測定することができます。

主に蒸留する前のワインや、コニャックを蒸留したタイミング、熟成途中などで分析をかけたりします。ここまでは任意なのですが、最重要ポイントとして商品化し輸出をする際には必ずここを通してコニャックとしての品質保証や検疫用の資料を作ってもらう必要があります。

分析資料は主に輸出先の税関に提出されるので、手順としてはこの資料を生産者から輸出先のインポーターに渡し、そのインポーターがその国の税関に輸入商品の検疫時の詳細資料として提出して通関許可を得るといった流れが多いです。

このようなBNICから認可を受けて分析を行う機関はコニャック周辺に3ヵ所ほど存在するようなのですが、そのうちの一つがここChristian Lacroixです。

ちょうどパスカル氏はジャンフィユーのコニャックのサンプルをこのChristian Lacroixに預け、分析を依頼し終え出てきたところでした。

私もいつか訪問してみたいなぁと思っていたのですが、もとより一般訪問を受付けている施設ではないので、私一人で訪問することは不可能でした。が、今回、特別にパスカル氏のご厚意により一緒に施設内に入らせて頂くことになりました!本当にありがとうございます><

どのような項目をチェックするのか?

この施設では所長であるChristian氏がほとんど一人で仕事をこなしています。コニャック以外にもワインやその他様々なスピリッツも分析対象なので日々このラボで分析を繰り返しているそうです。

施設内の様子はこんな感じ。
※写真は全て掲載許可を頂いてます

先述したように、この施設の最も重要な役割の一つに輸出時の検疫資料の作成があります。当サイトでも何回か登場したのですが、最終的に作られる資料はこのようなものです。(商品が特定されそうな部分は黒塗りしています)
※クリックで拡大

最も重要なのは、正式なアルコール度数や添加物などでしょう。

「Apparent Alcoholic Strength at 20℃(浮ひょう法で測定した比重測定によるアルコール度数)」と「True Alcoholic Strength at 20℃(成分分析した純粋なエタノールの割合)」という項目も注目すべきポイントですね。

この2つのアルコール度数の差が4%以内であることがコニャックに許可されている添加物(加糖やカラメル)の許容範囲となります。

この数字が何を意味するかはコチラの記事「コニャックの添加物(加糖・カラメル・オークチップ)の許容量はどのように決まっているのか?」にて詳しく説明していますので、是非ご参照下さい。

ちなみにDry Extractという項目がコニャック内に含まれる溶解した固形物の量で、そのほとんどは糖分になります。上記のサンプルだと1リットル中に7.4グラムの固形物(糖)が含まれていることになります。

要するに、コニャック生産者の方々単体では分析しきれない細かな内容をちゃんと検査して、コニャックとしての基準を満たしているかや、輸出時に問題ないかを検査してその証明を出している機関なのです。

日本人でこの施設に入るのは私が初めてだそうです。貴重な機会をありがとうございます。。。

さすがに全ての機器の説明を受ける時間はありませんでしたが、パスカル氏を通して凄く丁寧に説明して頂きました。

これ何する機械だったか忘れた・・・

お腹いっぱいの午後

元々この日の予定はFanny Fougerat訪問だけだったのですが、諸々の事情により訪問がなくなり、ホテルでのテイスティングで早く切り上げたので、午後はどうしようかと思っていたのですが、それが功を奏して(?)思いがけない出会いと体験をさせて頂くことになりました。

パスカル氏に偶然出会えたこと、Christian Lacroixに訪問できたこと、この2つでこの日はお腹いっぱいです。。。

突然現れた日本人の我がままに付き合って頂き、お二人には本当に感謝しています。

なおジャンフィユーには1週間後となる1/20に訪問して参りました。その時の訪問記もお楽しみに^^

今週は木・金と2日しかなかったため、これにてひと段落。土・日は基本的にコニャック生産者はお休みのところがほとんどなので週末は訪問予定なし。

来週は月から金までがっつり濃厚な訪問予定が入っていますので、身体を休めて備えます。

明日、あさってはコニャック市街地観光とBar巡り、そしてコニャック在住のソムリエ野田さん宅にお邪魔しディナーにご招待頂きました^^

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