コニャックレビュー

デラマン トレ・ヴェネラブル45年のレビュー

今回レビューを行うのは、独自の熟成技術が高い評価を得ている「デラマン(Delamain)」のコニャックより、45年~50年熟成を得たグランドシャンパーニュコニャック『デラマン トレ・ヴェネラブル(Delamain Très Vénérable)』です。

神がかり的な加水技術を持つデラマン

デラマンの歴史は16世紀に遡ります。1759年にデラマン家の祖先James Delamain氏がアイルランドからコニャック地方のJarnacに移住し、コニャックの商人としての生業を始めました。その後彼の孫が1824年に現在のデラマンの元となるメゾンを創設。その後9世代に渡り現在も家族経営(+従業員)のコニャックメゾンとして高品質なコニャックを世に出しています。

デラマンはネゴシアン・エルヴールと呼ばれる、所謂「熟成家」です。デラマン自体は自社で蒸留は行っておらず、少数の契約農家から良質なグランドシャンパーニュの原酒を買い付け、それを独自にブレンド・熟成しリリースしています。

デラマンのコニャックは最低でも15年以上熟成された商品しかリリースしていません。そのためデラマンにはVS、VSOPといった若いコニャックのランナップは無く、最も若いコニャックでも他社と比較すると長熟のコニャックであるということが言えます。

参考
デラマンオフィシャルサイト

フェーブル

そんな中でもデラマンを特徴づける要素として「フェーブル」が挙げられます。

一般的にコニャックはアルコール度数調整のための加水が行われますが、デラマンの加水は「神がかり的な加水技術」として知られています。

デラマンは加水に「フェーブル」と呼ばれるものを使っています。

フェーブルとは、蒸留水とコニャックを混ぜ合わせ、何十年か寝かせた液体の事です。デラマンの場合はアルコール度数15%程のフェーブルを使用しています。その液体をトノーという大きな容器に入れて保管しています。

フェーブルを8年間にわたり少しずつ加えていきアルコール度数を下げていきます。8年目以降はフェーブルを加えなくても自然にアルコール度数が下がるのを待って、ちょうど40%程度になるように調整を行っているようそうです。そのフェーブルを使用した加水調整のお陰で、アルコールと水がバラバラにならず、風味を損なわないコニャックができるのです。

デラマン トレ・ヴェネラブルの概要

今回私が手にしたデラマン トレ・ヴェネラブルの基本情報はこんな感じ。

デラマン トレ・ヴェネラブル(Delamain Très Vénérable)

容量:700ml
アルコール度数:40%
熟成年数:約45年~50年のブレンド
規格:グランドシャンパーニュ100%
輸入業者:田地商店
(2015年に輸入された並行輸入品)
購入価格:税込26,280円(2021年5月購入)

デラマンコニャックの旧ボトルと新ボトル

デラマンは数年前に大幅なブランドイメージのアップデートがあり、ボトルやパッケージ、一部商品名の改定が行われ、商品イメージは青と白が基調となれるようになりました。2021年現在、デラマンには

  • デラマン ペールアンドドライ
  • デラマン ヴェスパー
  • デラマン Le très vénèré

という3つのスタンダードラインナップと少しの高級ラインナップが柱です。その他に多くのヴィンテージコニャックのリリースがあります。デラマンのヴィンテージコニャックのほとんどは残念ながら日本には流通していません。

参考
デラマンのヴィンテージラインナップはコチラ

ちなみに3つ目の『デラマン Le très vénèré』は、商品名が若干異なりますが今回私が手に取った『デラマン トレ・ヴェネラブル(Delamain Très Vénérable)』の新ボトルデザインという扱いです。

↑トレ・ヴェネラブル新デザイン版の『デラマン Le très vénèré』
出典:https://www.delamain-cognac.com/en/the-collection/le-tres-venere

熟成年数やブレンドコンセプト、商品コンセプトといった中身の部分は今回私が手に取ったトレ・ヴェネラブルと全く同一商品となります。もちろん今回の旧ボトルの方が使用されている原酒は古いものが使われています。これはデラマンに直接問い合わせたので間違いありません。

ただし、価格としては旧ボトル(26,000円~30,000円)からだいぶ値上がりしており、現在日本に輸入されている新ラベルの方は価格的にも1.5倍~2倍くらい高い価格帯となっているようです。これは日本市場だけでなく、海外のショップでもおよそ350~390ユーロ(約46,000円~52,000円)が平均的な販売価格となっています。

正確な流通時期は不明

ということで今回私が手に取ったデラマン トレ・ヴェネラブルは既にオールドボトルという扱いで、ブランドイメージの変更が行われる前のやや古いボトルになります。輸入元の田地商店(信濃屋の輸入卸売部門)に問い合わせたところ、バーコードから私の手元にあるボトルは2015年に国内に輸入されたもので、タイのバンコク経由で並行輸入業者から卸したボトルとのことです。

あくまでもバンコクから日本への輸入が2015年ということで、正確なボトリング年までは分からないとのことでした。並行品においては大元の並行輸入業者もあまり把握しておらず正確な情報がトレースできないことが多々あるのでまぁ仕方ありません。一応ロット番号等を参考に直接デラマンに問い合わせているところなのですが、まだ返信がないのでもう一度送って回答を待とうと思います。これもよくあることです。(笑)回答がきたらまた追記します。

まぁおそらく軽く10年くらい前の個体の可能性はあります。

ラベルのデザイン

あまり注目されていませんが、このデラマン トレ・ヴェネラブルのラベルデザインは、フランス革命時代に使われていた紙幣がモチーフとなっています。

コルクが・・・

では早速期待のデラマン トレ・ヴェネラブルを開封!

キュッ・・・キュッ

・・・・ボロッ。

!!!?

しまった、コルク折れた・・・。

いつも通りコルク開けてたらボロッとコルクが折れてしまいました。うーむ、割と丁寧に開けたつもりだったのですが、やはりなかなか古いボトルだったのか・・・。

どちらかというと、バンコクの大元の並行輸入業者の保管状況が心配な部分もありますが、気を取り直します。

折れたコルクは残念ながら使えないので、予備に取っておいた他のボトルのコルクを代用します。注ぎ口の経口は大体同じなので、飲み終わって綺麗にした他のコニャックのコルクを活用。今回はちょうど綺麗にしたダニエルブージュのコルクが余っていたのでそれを使っていきます。

デラマン トレ・ヴェネラブルの香り立ち

気を取り直してグラスに注いで参ります。

どっしりとした樽感。木や森の茂みの中で焚火がくすぶっているような香りを感じます。これは40~50年程の長中期コニャックに特徴的なランシオ香と捉えてよいのではないでしょうか。

その他には白コショウやナツメグなど全体的にスパイシーな要素が力強く印象に残るのですが、その中にもリコリスのような甘草系の香りやバニラ、そして蜂蜜の要素もちゃんと感じることができます。

全体的にグランドシャンパーニュのとてもパワフルな部分が強調された香り立ちで、フローラルやトロピカル系といった華やかな要素は少ないかもしれません。

デラマン トレ・ヴェネラブルの味わい

香り立ちの延長線上にあるスパイス系のパワフルさはもちろん健在。

口当たりは長期熟成を経たコニャックに出てくるオイリーさを感じます。「舌に乗ってくる」というやつです。

長熟を経たグランドシャンパーニュによく出てくるオレンジ感はしっかりと感じることができます。また、グラスから嗅いだ際には感じることができなかったユリやジャスミンといったフローラル系のここちよい香りと、少しではありますが50年以上の長期熟成コニャックに感じるようなピーチやマンゴーといったトロピカル系の香りを鼻抜けの際に感じることができます。

先述したように、全体的にグランドシャンパーニュの力強さにフォーカスしたどっしり系のコニャックです。しかし樽由来のスパイス感のあるどっしりとした味わいを中心に、オレンジやトロピカル系のランシオ、そして少しだけ華やかなフローラル感といった3つの要素がバランスよく絡み合うかなり高品質なコニャックであることは間違いありません。

デラマン トレ・ヴェネラブルまとめ

ラニョーサボラン フロリレージュなどに代表される華やかスッキリ・フローラル系コニャックや、ジャンフィユーCF50などのトロピカル系ランシオ炸裂コニャックとは対極にあるコニャックです。そういったコニャックを求めている人には「ちょっと違うかな?」となるかもしれません。

どちらかというとレイモンラニョーとかスパイシー系のコニャックに近い要素を持ち合わせていると思います。葉巻にも合いそう。

残念ながら今回の旧ボトルデザインでのデラマン トレ・ヴェネラブルは現在の流通している並行品旧ボトルが無くなってしまうと終了です。

いずれにせよこの価格帯でデラマンの45~50年熟成に出会う機会は今後確実に少なくなってくると思われますので、気になる方は手に取ってみるのも良いかと思います。(また余計な事を書く・・・と思われそうですが。)

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