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生まれ年ロマネコンティ1986年のマールを頂くブランデーセミナーレポート

7月某日、前回に引き続き酒育の会が主催するブランデーセミナー「魅惑のブランデーを堪能しよう!!50年を超える長期熟成ブランデー」に参加してきました。

その今回のセミナーは一般参加費15,000円とセミナーとしては高額部類に入るのですが、そのラインナップを観れば納得・・・いやむしろ安すぎるくらい濃いアイテムが勢ぞろいでしたのでその様子をお届けします。

80年熟成越えのコニャックも

今回のテイスティングアイテムは下記の通り。

  1. ジャン・ド・ソンヌヴィル グランド・シエクル 1908-1988 80年
    (コニャック グランドシャンパーニュ)
  2. レロー トレ・ヴィエイユ・リザーヴ・デュ・パラディ50年
    (コニャック プティット・シャンパーニュ)
  3. サンペ 1944 (アルマニャック)
  4. デュポン 40年 (カルバドス)
  5. ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ マール1986 (マール)

もう見ても分かる通り(?)豪華なラインナップです。

今回のセミナーは座学で講義を楽しむというよりも、この素晴らしいアイテムを皆でテイスティングしながら質問形式でやり取りをするというとてもまったりな時間でした。

そして何故か私は講師である酒育の会代表 谷嶋氏の隣の席で皆さんと一緒にアイテムを楽しませて頂くことになりました。

せっかくなので各アイテムを少し見てみましょう。

ジャン・ド・ソンヌヴィル グランド・シエクル 1908-1988 80年

こちらは30年程前に流通していたらしいグランドシャンパーニュコニャック。

蒸溜年は明治時代にあたる1908年。1988年ボトリング。超貴重な80年熟成コニャックです。

今回初めて飲みましたこのブランド。現在はもう流通していません。

これは飲むと一番ビックリしたアイテム。これまでノーマークだったのですが、めちゃめちゃ凄い。ぶっちゃけ今回一番のダークホース。

ボトリングされてからもかなり時間が経つコニャックなのですが、その香り味わいともに全く死んでいませんでした。むしろ超ピーク。グランドシャンパーニュコニャックに代表されるオレンジ系の華やかは鼻抜けとピーチ・マンゴーを連想させるランシオが炸裂。

レベルでいうとジャンフィユーCF50やそれ以上の幸せな香味を感じることができました。これは凄いコニャックに出会ってしまった。

輸入元は「浪漫酒創庫あつみ(有)」。愛知県岡崎市にある酒販店さんです。こんな素晴らしいコニャックを輸入してくれてありがとう。

レロー トレ・ヴィエイユ・リザーヴ・デュ・パラディ50年

レローが誇る50年熟成のプティットシャンパーニュコニャック。

こちらもなかなかレアい1本。

第一印象は落葉や秋の森を連想させる落ち着いた感じでしたが、30分程経つと少しオレンジ感も露になってきて丸くなり印象が変わりました。

大変面白いコニャック。

サンペ 1944

1944年蒸留のアルマニャック。1980年頃瓶詰。

サンペのアルマニャックは実は多く出ており、割と見栄えを重視されたアルマニャックであることから味わい的にはいまいちピンとこないものもあるのですが、この1944は色々な意味で面白いアルマニャック。

まずアルマニャックらしい荒々しい感じはなく、むしろ大変軽く丸みを帯びている印象がとても強いです。アルマニャックとしては主張が控えめで落ち着いたものです。もちろん経年によるものもあると思いますが。

ちなみにこのデキャンタはバカラのクリスタルガラスで、めっちゃ重い。

デュポン40年

1976年蒸留の40年熟成カルヴァドス。ペイドージュ産。

口に入れた時のアタックは一番強烈。いつまでも残るリンゴ感。これをひと口飲むと次のグラスに移るまで10分以上かかる(笑)

それだけ強烈に舌に残るカルヴァドスです。グラスの残り香も段違いで強い。

以前ドメーヌ ドロネー 42年 1975のレビューで書いたように、カルヴァドスの場合は40年を超えたあたりから、より丸くなるか、よりエグみが目立つかの二極化しやすい傾向にあり、長熟の取り扱いはコニャックよりも遥かに難しいブランデーだと思っています。そういった意味ではこのデュポン40年はかなり良い具合に熟成が成功しているカルヴァドスだと感じます。その辺りはさすがです。

ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ マール1986

今回のセミナーはこのボトルを目当てに参加した人がほとんどなのではないでしょうか。

今回の目玉であるロマネコンティのマールです。

マールを簡単にいうと、ロマネコンティの赤ワインを作る際、発酵の過程でできた原料の粕を使って蒸留されたお酒。ロマネコンティのエキスが集まったマールなのです。

このロマネコンティのマール自体は各ヴィンテージごとに多くラインナップが存在します。

10年前や15年前は数万円で手に入ったようですが、今では安くても1本26万~30万円という価格になっており、なかなか一般の飲み手には手が出せない価格帯となっています。その中でも今回は1986年のボトル。普通にバーで飲もうとすると1杯1万円~2万円はくだらない逸品です。

しかも1986年は私の生まれ年。わーい^^ロマネコンティのマールは以前飲んだことがありましたが、この1986年ヴィンテージは初めて飲みました。

どんな味わいかって、そりゃ美味しくないわけないのですが、このロマネコンティのマールを飲んでしまうと、他のほとんどのマールが霞んでしまうほど段違いに素晴らしい。この値段とブランドはダテではありません。

飲んだ瞬間に感じる季節は秋。目の前に広がる紅葉。落葉と森の空気。そしてマールに特有の心地よい藁のような香り立ち。ほんのりと顔を出すイチゴ感。そのすべてがいつまでも口と鼻にとどまり続けます。10分後にまた飲むと、1口目には存在しなかったミルクチョコレートを明確に感じることができます。

私もそんなにワインの経験があるわけではないのですが、これがブルゴーニュワイン最高峰の凄さか・・・と勝手に想像して感動しています。

もはやそこに稚拙な言葉は必要ありません。ただ黙ってその余韻を噛みしめるのみです。

魅惑のブランデーまとめ

今見ても大変すばらしいブランデーが揃ったド級のセミナーでした。

その中で、もちろんロマネコンティのマールもいう間でもなく良かったのですが、個人的に一番印象に残ったのは1本目のコニャック「ジャン・ド・ソンヌヴィル グランド・シエクル 1908-1988 80年」でした。

完全ノーマークだったがゆえにこのインパクトは凄かった。飲んだ瞬間に分かる「大当たり」感がハンパない。もうこれだけでも満足満足。このボトルは海外の通販サイトやオークションなどを探しても今やなかなか手に入らないボトルなのが悔しいです。もし見つけたら是非買いたい1本です。

必ずしも「高くて長熟なブランデー」=「良いブランデー」という訳ではありませんが、やはりそれなりの評価があるフラッグシップボトルを一通り楽しむというのは大変良い経験です。

まだまだそこが知れないブランデーの世界。沼の深さは計り知れませんが、これからも様々なブランデーを楽むことができるぞ!という希望を抱かせてくれる大変良いセミナーでした。

さて、次のボトルは何を買おう^^

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