カルヴァドスレビュー

素材の味わい?「ロジェグルー ドイヤンタージュ」のレビュー

2022年4月某日、とあるカルヴァドスをゆっくり飲み比べするために4本熟成年数別に買い増ししました。

そのカルヴァドスは「ロジェグルー」。バーでは何度か飲んでいたのですが、家には1本もボトルが無かったのでつい衝動的に・・・。

写真左から

  • ロジェグルー 8年
  • ロジェグルー ヴェネラブル(20年以上)
  • ロジェグルー エイジドール(30年以上)
  • ロジェグルー ドイヤンタージュ(30年以上)

その中でも今回は価格的にも最も高い「ロジェグルー ドイヤンタージュ(Doyen d'Age)」を見て参ります。また後日飲み比べ記事もUPする予定です。

ロジェグルーの製法

ロジェグルーは18世紀より続くカルヴァドス ペイドージュ地区の家族経営生産者。最初はシードルを作ることが家業でしたが、その後1860年にシードルを蒸留しカルヴァドスの生産を始めました。現在は27ヘクタールのリンゴ農園を保有し、30種類のリンゴが栽培されています。

参考記事
カルヴァドスの生産域の違いとは?

ロジェグルーはリンゴをゆっくりと自然発酵させ、その1年後に蒸留に入ります。またその蒸留方法も伝統的製法で、ペイドージュ地区のカルヴァドスなので単式蒸留器を使って2回蒸留を行うのですが、1回目と2回目の間に数ヶ月の熟成期間を設けています。1回目の蒸留でアルコール度数30度ほどのオードヴィーとなり、その後数ヶ月オーク樽での熟成を経た後に2回目の蒸留を行い最終的に70度のオードヴィーに仕上がり、それを樽熟成させていきます。

というのが販売店やカルヴァドスブックの説明にもあるのですが、現在彼らのWEBサイトを見る限り、発酵は数ヶ月と書かれていたり、1回目と2回目の蒸留間についても特記されていないので、現状はやや異なるのかもしれません。この辺はすみません、ちょっと不正確です。

まぁ少なくともこのドイヤンタージュが蒸留されてた時代はそのような製法だったのだと思います。

そのためか、特に長熟レンジのカルヴァドスはかなり特徴的な仕上がりとなっているように感じます。

ロジェグルードイヤンタージュの基本スペック

それでは改めて今回のドイヤンタージュの概要を・・・・

ロジェグルー ドイヤンタージュ
Roger GROULT Doyen d’Age

容量:700ml
アルコール度数:41%
熟成年数:30年超
生産域:カルヴァドス ペイドージュ
輸入業者:有限会社ウィック
購入価格:税込17,800円(2022年4月購入)

ロジェグルー ドイヤンタージュの香り立ち

まずはオレンジピール、蜂蜜。
そしてプラムのような甘酸っぱい香りも拾うことができます

フローラル要素としてほんのりスイカズラ。
最後に少しだけスパイスの要素にクローヴ、アニス。

一通り香りを楽しんだあとに鼻をグラスに近づけるとややタバコのようなスモーキーさも感じることができる。

ロジェグルードイヤンタージュの味わい

驚くくらいリンゴが全面にでる。
あとはアンズのような酸味と甘み。

どちらかというとスッキリ系なカルヴァドス。
スッキリ系というか、余計な樽感や甘みは無いです。
いや、甘みは無いというと少し御幣があるのですが、人工的な甘みではなくスッキリとしたフルーティーさあふれる赤リンゴ素材そのもの。

瞬間的な鼻抜けの余韻は爆発するものはないですが、その後の舌から感じるリンゴ感が凄い。
リンゴのブランデーなのでリンゴリンゴ言うとアホみたいですが、いやホントに口の中のアルコール感が抜けきった後にめちゃめちゃリンゴが残るんですよこれ。

それこそ本当に代表的なサンふじとか・・・蜜は少な目で、あまり固すぎず程よい柔らかさ且つサッパリ系のリンゴをいつまでも噛んでいるような感じ。舌に残るリンゴ素材そのものな感じとしてはトップクラスだと思います。

ドイヤンタージュまとめ

完結に言うと、素材の味わいを素直に楽しめる長熟カルヴァドスです。余分な渋みや甘みが無い。削ぎ落としたというよりも、最初からつかないようにしていたような印象です。

あとは好みの問題ですが、ロジェグルー ドイヤンタージュは30年超熟成のペイドージュ産カルヴァドスとしては確実に樽感や渋みの要素が少なく、重厚感やインパクトという観点からは控えめなカルヴァドスと言わざるを得ません。

デュポンのような樽由来のが大きいように感じる濃厚さや、アドリアンカミュのような甘味、シャトードブルイユのようなほんのり薬草感(?)と凝縮果実感が好みの人には物足りなさも感じるかもしれませんね。

何回も飲んでいると「素材の味わい」故にやや単調さ、物足りなさも否めません。それ以外の要素がやや乏しい気がするというか何というか・・・。こういうのは家で何度も飲み比べるよりも、バーなどの最高の空間で至高の1杯をゆっくり楽しんで、その余韻を記憶に残した方が向いているのだと思います。

この30年を超えたあたりのペイドージュ産カルヴァドスの渋み・濃厚バランスは非常に難しいものがあります。もちろん人それぞれではあるのですが、ある一定の熟成を超えるとどうしても強く渋みを拾ってしまったり、逆に物足りなく感じてしまったり。

私の場合は正直このロジェグルー ドイヤンタージュはちょっと物足りない感はあります。逆に以前購入した42年熟成のカルヴァドス「ドメーヌ ドロネー42年」なんかはちょっと重厚すぎて・・・・。デュポン30年くらいが私にとってドンピシャな渋み・濃厚具合なのかもしれません。

ちなみに、この後にアドリアンカミュを飲むとアドリアンカミュがめっちゃシロップ並みに甘く感じる。
またこの後にデュポン30年を飲むとだいぶ樽の渋みを感じる。どちらも個性があってよいのですが、キャラクターの違いが面白い。

参考記事
カルヴァドス「アドリアン カミュ」4種類レビュー。おすすめはどれか?
さらに濃厚カルヴァドス:デュポン30年のレビュー
ドメーヌドロネー42年のレビュー

リンゴを素直に楽しめるカルヴァドスであるこのロジェグルー ドイヤンタージュとの対比として、洋ナシ比率が高いパコリ30年かと飲み比べてみるとさらに面白い。どちらも30年熟成超えで樽感の少ないカルヴァドスなので原料の違いがこれでもかというくらい分かります。

最後にまとめとしてもう一回書きましょう。
ロジェグルー ドイヤンタージュは、余分な渋み甘みなく素材の味わいを素直に楽しめる長熟カルヴァドスですので、飲んだ後のリンゴ感を楽しみたい方は是非飲んでみてください^^

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