滞在6日目その1
2019年12月8日(日)
コニャック巡りというのは日曜日になると比較的、というかかなりヒマになる。
というのも、日曜はほとんどどこの蒸留所や生産者も休みで訪問を受け付けていないところが多いからです。個人的に仲いいところだったら開けてくれるかもしれませんが、大手や中堅メーカーはほとんどどこもシャッターを閉めています。
そんな中、コニャック市街地で唯一空いているのが、コニャックの観光名所
Château Royal de Cognac
です。
そう、いわゆるコニャック城だ!!
1702年にオタールによって買い取られたこのコニャック城は今やコニャック業界5位までのし上がったバロン オタール(Baron Otard) コニャックの本拠地でもあり、このお城の中には実際にオタールの熟成庫があります。
今回は少し観光的にオタールのコニャック城ツアーに参加してきましたので、その様子をかいつまんでレポートします。
ちなみにコニャック城はコニャック市街地のヘネシー本社のすぐ隣にあります。
他のツアー客と一緒にコニャック城とオタールを学ぶ
コニャック城のオタールツアーは誰でも申し込むことができ、申し込んだツアーによって下記の通り最後に試飲できるアイテムが変わります。(カッコ内は試飲できるオタールのコニャック)
- Discoveryコース:12ユーロ(VS・VSOP)
- Prestigeコース:22ユーロ(VS・VSOP・XO)
- At the Heart of the Châteauコース:46ユーロ(VS・VSOP・XO・Extra)
- Royal コース:120ユーロ( VS・VSOP・XO・Extra・Fortis et Fidelis)
私はスタンダードなPrestigeコースで参入。なんと、前回のMARAMCHEVILLEに続き、こちらもCognac ExpartのMaxの紹介で無料にしてもらえた。ラッキーだ。ありがとう。
ちなみに一番高いRoyalコース(120ユーロ)ではボトル約3,900ユーロ(約48万円)くらいのオタール最高級コニャック「Baron Otard Fortis et Fidelis」が試飲可能です。ちなみに私は飲んだことありま・・・せん。残念。
今回のコニャック城巡りツアーでは、私の他に7名程の参加者がおり、それぞれオランダやベルギーからコニャックにやってきた方々でした。アジア人は私一人で若干浮いております。
前半はコニャック城内のツアーで、場内のオブジェや建造物を見ながらコニャック市街地の歴史をガイドして頂きました。
色々と説明して頂きましたが、ちょっと長くなりすぎるので割愛。主にここコニャックの地で生まれたフランソワ1世(フランソワ プルミエ)に関することと、お城の歴史についてです。フランソワ1世の生涯についてはコチラのサイトあたりをご参照下さい。
その他、前半のコニャック城内の写真ダイジェストレポです。(クリックで拡大)
ちなみに、コニャック城の入り口。昔はここが唯一のコニャック市街地の入り口でした↓
ここはツアー写真などでも出てくる有名な大広間↓
この空間は昔実際にコニャックの熟成庫として使用されていた場所です。コニャックの熟成庫は、コニャックの成分が蒸発することによって壁が真っ黒(キノコ菌の一種)になるのですが、この空間も昔は真っ黒でした。広間として開放する際に多大な時間と労力をかけて黒い壁を削り、掃除し、現在の白い状態に戻したそうです。
現在、この広間は様々な用途で使われており、結婚式のパーティーなどでも使用できるそうです。
ネゴシアンなオタール
オタールは完全なるネゴシアン。
自社での蒸留は行っておらず、厳選された契約農家から買い取ったオードヴィーやコニャックをオタール風味に熟成させています。
オタールには複数の契約蒸留家が存在しますが、そこではちゃんとオタール風味のオードヴィーに仕上がるように他社とは差別化した指示を出しているそうです。
具体的にどんな指示なのか、どのくらいの契約農家や蒸留所があるのかは今回は教えてくれませんでした(笑)
後半は実際の熟成庫へ
前半30分のクイックツアーを終え、後半は実際にオタールのコニャックが眠るコニャック城内の熟成庫へ。
ちなみにオタールの熟成庫はここコニャック城内部と、シャラント川を挟んで対岸のいくつか、そしてコニャック市街地の外にいくつか、とい感じで複数の熟成庫に分かれています。
このコニャック城内部の熟成庫に来るのは基本的にXOクラス以上のコニャック達がメインとなっています。 (ここでそのまま熟成されたり、他の場所から移動させられてきたり)
ただし、セラーマスターの判断により若いコニャックもこの城内熟成庫で数年過ごすこともあるそうです。その判断基準はオタールのセラーマスターのみぞ知るといったところで、このツアーではそこまで深いところまでは教えてくれませんでした残念。
最初に訪れる熟成庫はオタールのHPなどでもよく見かける場所。主に観光向けですが、実際に古いコニャックがまだ中に入っています。
コニャック城の分厚い石の壁とシャラント川のおかげで常に湿度およそ90%、気温15℃が一定に保たれており、オタールのコニャックの熟成を形作る重要な場所です。
この熟成庫の下には実際にシャラント川の水が流れています。この場所はほとんどシャラント川と直通の状態になっており、ここから直接シャラント川の船に樽が出荷されていました。
奥に進むと、更に大きな熟成庫へ辿り着きます。
ここはまさに製品化されるオタールのコニャック達が眠っている場所。
そしてコチラはブレンドが完了したコニャックが保管されているトノー(大樽)。
なお、提携している樽メーカーは4~5つ。
オタールと D'USSÉコニャック
先述したようにオタールは現在コニャック業界5位にのし上がっています。
参考記事
→BNIC(フランスコニャック協会)に突入 / 世界のコニャック輸出入事情
そこにはオタール(正確にいうとバカルディ社)がアメリカ向けに展開しているもう一つコニャックブランド「D'USSÉ」の存在があります。
D'USSÉのコニャックはあまり日本では知られていませんが、2012年にオタールが生み出したもう一つのコニャックブランドです。
ヒップホップ界の王者Jay-Zが広告塔になりアメリカのヒップホップ界を中心にセンセーションを起こしたコニャックブランドです。近年のオタールの成功はこのD'USSÉコニャックが担っていたといっても過言ではないかもしれません。
とにかくアメリカではすごい人気。ちなみに D'USSÉのレンジはVS、VSOP、そしてXOの3種類のみ。一番人気があるのは恐らくVSOP。
オタールのコニャックと D'USSÉのコニャックは同じ熟成庫から生まれますが、コニャックとしての特徴はやはり異なります。
オタールのコニャックと比較するとD'USSÉのコニャックはよりヘビー。
やはりアメリカ向け・・・ヘネシー的・・・というとあれですが、キャラメルなのかシュガーなのか分かりませんが、オタールをより濃厚にしたものがD'USSÉ、といったイメージです。(怒られるかもしれん)
オタールコニャックテイスティング会
ひととおり熟成庫を見回った後は恒例のテイスティング会。コニャック城内にあるテイスティングルームで行われます。
とはいっても事前の申請コースによって試飲できるコニャックが限られています。
私はスタンダードなPrestigeコースだったため試飲したのはオタールVS、VSOP、XO Goldのみ。
この3つは既に幾度となく飲んできたので、ここでは感想は割愛致します。すみません・・・
参考記事
→ バロンオタール(Baron Otard)XO Goldのレビュー
唯一違う点は、今回頂いたオタールXO Goldはボトルが限定バージョンのゴールドボトルだったということです。豪華。
・・・中身は普通のXO Goldと一緒だけど。
なお、オタールのコニャックでは最も高い約48万円のBaron Otard Fortis et Fidelisはコチラ↓
オタールXOの価格の謎
オタールXO Goldは日本国内でも手軽に入手可能です。しかもXOカテゴリとしては破格の小売価格7,000円~8,000円台。並行輸入品ではなく、正規代理店のバカルディジャパンからのものでこの価格帯です。
しかしながら、どこの海外通販や国外のショップを見てもこの価格帯で手に入る国は見当たりません。
実際に今回訪問した現地のコニャック城の直販店でも1000mlで223ユーロ、つまり日本円で2万7000円くらいで販売していました。
日本国内で売っているボトルは700mlなので、1000mlの223ユーロと単純比較とはいきませんが、700mlを販売しているCognac Expartでも179ユーロ(約2万1000円)、もう一つのコニャックオンラインショップのCognathequeでも157ユーロ(1万9000円)となっており、日本市場の2倍近く高価な値段となっています。
この価格差は何?
と今回ガイドしてくれた方に聞いた所
「え、そうなの!?信じられなーい!日本で買った断然方がいいじゃん!本当にオフィシャルなの??」
といった反応で、全く明確な答えを得ることができませんでした。おい(笑)
輸入経路や酒税の問題を考慮しても、他のコニャックと比較して明らかに国内価格と海外価格の価格差が開き過ぎています。
なぜ?
ということで、もしバカルディジャパンの方、またはオタールの輸入事情に詳しい方がこの記事を見ていたら是非教えて頂けませんでしょうか。
よろしくお願いします。
楽しいツアー、オタール
今回はツアーということで、実際の生産者にお会いすることはできない形でしたが、コニャックの歴史を知り、一通りオタールのコニャックについて知るには良いツアーでした。
このツアーは誰でも申し込むことができ、言語も英語かフランス語を選択することができます。(残念ながら日本語はありません)
コニャック城は歴史としても古く、ヨーロッパの過去に興味がある方にとっては大変面白い場所だと思います。
ということで、この日のコニャック見学はこのあたりで終了し、その後はコニャック市街地を散策。
良い感じの街の風景を写真に収めてきたので、また別記事にてまとめたいと思います。
そして夕方からは今回のコニャック滞在の大きな目的の一つでもあるコニャック海外通販Coganc Expertの運営者、Max & Sophieの家にホームステイです。
実は前々からCognc ExpertとBrandy Daddyはコラボレーションを画策しており、今後大きな動きがある予定(?)なのです。その打ち合わせも兼ねて、日本人で初めてCognac Expertの本拠地にお邪魔してきます。
そしてMax & Sophieの家では映画でしか見たこのない光景が広がっていました。
その衝撃の光景とは・・・!?
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