今回のレビューはアルマニャックの名門ドメーヌ・ボワニエル(Domaine Boingneres)より「ドメーヌ・ボワニエル2001 フォルブランシュ」です!
このボワニエルの2001年ヴィンテージは以前Barで1杯だけ飲んだことがありましたが、ボトルを買うのは初めてです。当時飲んだ時もかなり美味しかった記憶があるので期待が高まります。
ドメーヌ・ボワニエルとは?
まずは軽くドメーヌ・ボワニエル(Domaine Boingneres)について基本的なことを触れておきましょう。
ドメーヌ・ボワニエルはアルマニャックの生産域でも品質の高いアルマニャックが多く輩出される「バ・アルマニャック」地区にある生産者です。
現在のオーナーはMartine Lafitte(マーティン・ラフィット)さん。創設は1807年。ラフィットさんの母方に当たるボワニエル家(Jean Boingnères氏)が畑を購入し、ワインを醸造し、販売していました。その当時から小規模な蒸留も行っていました。
第2次世界大戦後には、レオン・ラフィット氏がボワニエル家の娘と結婚。その後はラフィット氏が経営・生産を担うことに。新に畑を開墾しフォルブランシュの栽培を始め、新たな蒸留器も導入したりとボワニエルのアルマニャックに多大な貢献をしました。その後レオン・ラフィット氏は1994年に亡くなりますが、その意思を娘であるマーティン・ラフィットさん(現オーナー)が引き継いで今も高品質なアルマニャックを生産しています。
ドメーヌ・ボワニエルのアルマニャック
原料となるブドウの栽培から蒸留、熟成、ボトリングまで全て自分たちで行う、いわゆるプロプリエテール。生産規模はかなり小さく、現在も家族規模でアルマニャックの生産を行っています。
ドメーヌ・ボワニエルの特徴としてはやはり原料でしょうか。ボワニエルのブドウ畑は22ヘクタールの自家畑のうち、14ヘクタールで希少なフォルブランシュ種のブドウを栽培しています。
ドメーヌ・ボワニエルで使用される蒸留器は中に6段のプレートがある連続式蒸留器が1基。
ドメーヌ・ボワニエルのアルマニャックはフォルブランシュをメインとしており、その風味を生かすためにも使用する樽の内側はトーストしすぎず、軽くトーストしたミディアムトーストとなっています。
年にもよりますが、年間生産量は約40樽分ほどという小規模です。
ドメーヌ・ボワニエルのラインナップには年数表記のないノンヴィンテージ(約5年熟成)が1本ありますが、それ以外は無加水でボトリングされているのも特徴。全ての商品においてノンカラメル、ノンチルフィルタードです。
ドメーヌ・ボワニエル2001フォルブランシュの基本情報
改めて今回のドメーヌ・ボワニエル2001フォルブランシュの基本情報を記載します。
ドメーヌ・ボワニエル 2001 フォルブランシュ
容量:700ml
アルコール度数:49%
ヴィンテージ:2001年
ボトリング:2019年
熟成年数:約18年
生産域:バ・アルマニャック
ブドウ品種:フォルブランシュ100%
輸入業者:(有)スリーリバース
購入価格:税込18,800円(2021年10月時点)
ちなみに2001年ヴィンテージの約18年熟成でこの価格帯はアルマニャックとしてはかなり高価な部類に入ります。
ドメーヌ・ボワニエル2001フォルブランシュの感想
香り立ち
ミルクチョコレート、キャラメルを彷彿とさせる甘くねっとりとした香り立ち。
その中に少しだけオレンジピールを中心とした柑橘系と、わずかにラベンダーが香ります。ところどころアンズのようなものも。
アルマニャックに時たま強く感じるダイレクトな消毒アルコールのような嫌な香りは一切無く、非常に落ち着いています。
シガーボックスのような木の香りも拾うことができます。
グラスに注いで15分くらい経つとさらにミルクキャラメル感とオレンジ・レモン感をより一層感じることができますね!これはしばらく置いて変化を楽しむことができるアルマニャック。
味わい
何だろう、パワフルなんだけどまろやか。かなりタンニンの強さはありますが、一般的にアルマニャックに対して言われる「荒々しさ」をそこまで感じない。
実はこれはドメーヌ・ボワニエルに共通する特徴でもありますが、アルマニャックとしては大変濃厚でネットリしている部類。
独特な黒コショウのようなスパイス感はあります。あとほんのりシナモン。
あとはヴァニラ、そしてアプリコット、黒糖感。
18年熟成ながらも舌の上にずっしり乗り重厚感あふれるアルマニャックです。
傾向としてはやはり複雑なフルーツ感は少なめで、濃いチョコやキャラメル感が圧倒的に強いので、ずっと飲んでいると少し疲れてきます。途中で牛乳とか挟みたい。
余韻としてもかなり力強く残る印象。
ビターチョコから干しあんず、ドライレーズンと鼻抜けが変化。数分すると口の中がビターチョコからミルクチョコ・・・いやミルクティーやチャイティーに変わる印象。
これは良い。
特徴としてフォルブランシュ100%というのがありますが、一般的なコニャックでイメージする「若く、フレッシュ、紅茶感」といったイメージとは一線を画すものです。
まとめ
この2001年ヴィンテージ含め、ドメーヌ・ボワニエルは全体的にかなり高品質なアルマニャックであることはまず間違いない。
先述したように、18年ものアルマニャックの相場観としてはなかなか高価な部類に入ります。しかしこのクオリティは納得せざるを得ない価格。十分に1万8千円の価値はあると断言できるでしょう。
パワフルさとまろやかさを兼ね備えたアルマニャック。無加水でノンチル・ノンシュガーというのも強みの一つ。
この表現はプラスにもなるしマイナスにもなるかもしれませんが、むしろコニャックに近いアルマニャックと言ってもいいかもしれません。アルコール度数55度くらの30年熟成の樽の効いたファンボア産またはボンボア産コニャックとイメージが近いです。
先述したようにそのタンニンの強さからもずっとこれだけ飲んでいるとやや単調な部分もあり、何か濃くオイリーな料理などと一緒に組み合わせて飲むのがおすすめですね。フォアグラなんかと一緒に楽しむと至高。アボカドのにんにくバター炒めとかとも相性よさそう!チョコレートやチーズとかフルーツとかではなく油系が欲しくなるアルマニャックですね(笑)
なかなか同じ18年熟成のアルマニャックには出せない香味を楽しませてくれるドメーヌ・ボワニエル2001フォルブランシュ。
ひとつバ・アルマニャックの基準としてこれを置いてもいいのかなと思わせてくれる存在です。