コニャックレビュー

12年熟成の妙味コニャック L'ESSENTIEL A12 Conte et Filles

今回はコニャック通販サイトCognac Expertと生産者のコラボボトルシリーズであるL'ESSENTIELシリーズより、L'ESSENTIEL A12 Conte et Fillesです。

フルボトルではありませんが、サンプルを入手したのでサンプルベースでのレビューを行います。

名前の通り、コラボ先の生産者はConte et Filles。A12は12年熟成を表します。

400リットルの樽から厳選されたシングルカスクのコニャックとなります。

Conte et FillesはAnne-LaureさんとBlandine Conteさんの姉妹を中心にブドウの栽培から醸造、蒸留、熟成、瓶詰から自社で一貫して行う家族経営の小規模コニャック生産者。

家系自体は1860年から5代続く農業家系ですが、コニャック事業を本格的にブランド展開し始めたのは2011年のこと。

ブランドとしてはまだまだ若い生産者ですが、その特徴を活かしフルーティーでフレッシュなコニャックを中心にブランド展開を行っています。

L'ESSENTIEL A12 Conte et Fillesの基本情報

L'ESSENTIEL A12 Conte et Filles

容量:700ml
生産域:プティットシャンパーニュ
アルコール度数:46.3%
熟成年数:12年
熟成樽:トロンセオーク
樽容量:400リットル
カスクNo:No49
最終加水日:2022年7月29日
その他:カラメル添加無し・加糖無し・ノンチルフィルタード
生産本数:161本
販売価格:89ユーロ

香り立ち

まず感じるのは蜂蜜でコーティングされたようなレモンの甘酸っぱさ。

そしてカモミールティー。

蜂蜜レモンとカモミールティーの相性がいいように、この2つの香り立ちは12年という若いコニャックにおいて私が大変すきな要素です。

その後感じるフローラルさ。少しきんもくせいを彷彿よさせるような香り立ち。

最後にスカッと抜けるような石灰やミネラル感を含んだシトラスのような爽快感。

爽快系若いコニャックに必要な要素が全て詰まっている大変良い香り立ちです。

味わい

最初こそはアルコール度数と若さ故のピリッとする感じとほんのりスパイシーさは感じる。

酸味がありレモンウォーターを彷彿とさせ、その後キンカン飴、そして青リンゴのような甘酸っぱさが口の中に広がっていきます。

最後にはやはりシトラスのような爽快感が駆け抜けます。

若さは感じるものの、飲んでいて疲れない。刺激もあるのでどちらかというと食前酒向け。
ただ、どうしても若いコニャック特有の若草のような香味と少しピリッとする感覚は残るので、コニャックの入門としてはやはり難しい。逆にある程度若いコニャックから長熟のコニャックを一通り飲んでいて、各熟成年数の特徴を把握している人が楽しめる玄人向けコニャック。

アルコール度数も46.3%あるので、ジンジャーエールで割るのも良いし、トニックウォーターで割ってコニャックシュウェップスにしても楽しめる。ただシングルカスクの限定ボトルのためそのような使い方はややもったいない気もするけど・・・

10年との比較

ここで私の手元にある同ブランドConte et Filles 10年と比較してみると大変面白いです。

Conte et Filles 10年

同ブランド、近い熟成年数ですが方向性や特徴は大きく異なります。

10年は若さの割りに樽感と黒糖のようなほろ苦さがあり10年としては割とどっしりとした感じ。
しかし、12年は全くない。レモンやフローラルを中心とした爽快さがギュッと詰まったコニャック。若いプティットシャンパーニュとしてはかなりレベルの高い完成度ではないでしょうか。

どちらかというと若いコニャックに求められているのはこちらのL'ESSENTIEL A12。そう考えるとConte et Filles 10年は30年熟成のコニャックに必要な樽感とドッシリ感を無理やり引き出した感じに思えてきた。

共通しているのはシトラス感。

まとめ

個人的にはかなり好き。

しかし、先述したようにある程度コニャックを飲みなれている玄人向けのコニャック。

やはり12年という若さ、フレッシュさが全面に出るコニャックはどうしても好き嫌いがはっきりと分かれてしまうレンジです。

また同ブランドは長熟成のコニャックのラインナップも少ないため、10年、20年、30年・・・と垂直テイスティングするのもなかなか難しいところ。若いコニャックと30年40年といった長熟のコニャックとの飲み比べを行いたいのであれば正直他のコニャックでも良いでしょう。それこそジャンフィユーあたりで楽しんで頂ければと思う。

また価格帯も89ユーロ、日本円換算で約12,600円(2022年9月時点)と他の12年熟成と比較すると倍近い価格帯である。L'ESSENTIELシリーズはシングルカスクという限定感があるのでまだ良いものの、同ブランドの10年熟成も日本円換算すると平気で1万円超えとやや他ブランドの10年レンジと比較すると価格の高さが目立つのも実際問題としてあります。

この10年、15年といったVSOPレンジのコニャックは他ブランドにおいても商品が多く、飲み手にとっても選択肢と比較対象が多すぎるるため、価格帯での判断基準を度外視する人向け。

そういった観点からも若いコニャックとして気軽に万人におすすめと言えないのも正直なところ。

ただ、本当にレモン、カモミールティー、シトラスといった若いコニャックの爽快感を感じるにはもってこいのコニャックではあります。

結論としてVSOPレンジのコニャックの個性の違いを金額を無視して素直に楽しめる方、コニャックをある程度飲みなれている方には是非ともおすすめしたいコニャックです!!

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