ブランデー知識【中級編】

コニャックのラベル読み方まとめ:必須情報と任意情報は何?熟成年数や生産域?

2022年6月17日

国や生産地によってワインにはワインの、ウイスキーにはウイスキーのラベルの読み方があるように、コニャックにもコニャックのラベルの読み方があります。

コニャックの生産域や基本情報など生産者が造ったコニャックが「どんなコニャックか?」がより分かりやすくなるよう、コニャックのラベルの読み方を整理してみましょう。

※Label(ラベル)じゃなくてフランス語読みでétiquette(エチケット)でしょ!という人もいますがコニャックAOCを管理しているBNICが発行している英訳のコニャック規定書も"Label"表記なのでここでは「ラベル」で統一します。

ラベルに必須な表示項目

熟成年数の表記に関しておさらいが終わったところで、ようやくラベルに記載される項目を見ていきましょう。これらの情報は必ず表ラベルまたは裏ラベルに表記しなければいけません。1~5は主に表ラベルに表記される事が多く、6~10は裏ラベルに表記されている事が多いです。(厳密にはどちらでも良い)

  1. 「COGNAC」表記(Dénomination de Vente)→この製品は「COGNAC」であるという表記のことです。当然コニャックのAOCの基準に則った製品しかCOGNACを名乗ることはできません。
  2. 生産国表記→フランス産であることの表記。英語(Product of France)またはフランス語(Produit de France)
  3. アルコール度数→ 多くは〇〇%または〇〇% Vol.といった表記でアルコール度数が表示されています。
  4. ボトル容量→〇〇〇ml、〇〇cl、〇〇Lの表記があります。
  5. 生産域 (Dénomination Géographique Complémentaire ; DGC)→コニャックの生産域のこと。単一生産域(グランドシャンパーニュ100%やファンボア100%)の場合で生産者が表記を望む場合は記載可能。記載する場合は必ず1「COGNAC」の表記よりも下部に書かなければならない。
  6. アペラシオン(Appellation Statement)→もし上記のDGCを表記する場合、その更に下に必ず改行して生産域の正式なAOC表記をしなければならない。例えばDGCにて「 Grande Champagne 」と目立たせるために表記した場合、その下に「Appellation Cognac Grande Champagne Contrôlée」と記載する必要がある。
  7. 生産者の名前と住所→生産者の正式名称(ボトラーズの場合はボトラーズの名前)と所在地です。あくまでも住所は本社所在地なのでボトリング場所等とは異なる場合があります。
  8. 瓶詰業者名→生産者と瓶詰業者が異なる場合は記載必須
  9. ロット番号→いつどこで生産されたボトルかを追跡するための番号。多くはロット番号を示す「L」で始まることが多い。このロット番号はラベルに記載される場合とボトルにレーザーで刻印・削りだしで表示されている場合がある。 ※稀にどこにも表示されていない場合がある・・・
  10. 妊娠シンボルマーク→妊娠中の方はお酒を摂取しないよう呼びかけるシンボルマーク。コニャックというよりもEUのフランスの食品衛生法上必須(2005年に制定)。必ずアルコール度数が表示されている場所と同じ場所に表示しなければならない。※表ラベルにも裏ラベルにも表示がない場合には外箱の側面や底面に表示されていることがある。※稀に本当にどこにも表示されていない場合がある・・・

実際のラベル表示を見てみよう

では分かりやすいラベルの例を見てみましょう。こちらはフランソワペイローXOのラベルです。(生産者と瓶詰は同じなので8.瓶詰業者は無し)

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このボトルは表ラベルに全て詰め込んで表示していますね。ボトルによっては生産者住所や妊娠シンボルマーク、ロット番号などは裏ラベルに表示されているパターンもあります。

一応規定では上記の項目が必須となっているのですが、ボトルによっては9.ロット番号と10.妊娠シンボルマークは表示されていないものもあります。特に小規模生産者など・・・。

任意表示項目

その他必ずしも表示義務はありませんが、よく表示されている任意項目は下記のようなものがあります。

  1. 熟成年数表記→VSOPやXO、ヴィンテージ、Lot〇〇など熟成年数を表す表記。意外ですがこれは任意項目であり必ずしも記載する必要はない。
  2. 成分表示→糖分含有量やカロリー表示など。2019年に制定されたらしいのですが、今のところこれらが記載されているラベルは見かけない。将来的には一般的な表示項目として普及するかもしれない。
  3. 商品名→そのコニャックに特定の名前を付けたい時に記載。熟成年数表記とは別のもの。たとえば「ABK6 XO Renaissance」のRenaissanceの部分や「ジャンフィユーXO Grande Reserve」のGrande Reserveの部分など。
  4. その他付加情報→ノンチルフィルタードやノンシュガー、ノンキャラメルなどの無添加物表示や、シングルカスクの場合は樽番号などの詳細情報、生産者メッセージ、その他色々なアピール情報など。消費者に誤解を招かない、誇大表示ではない、適切な表記が求められる。

主にシングルカスクやシングルヴィンテージなど特別なボトルに多いですが、昨今はその他の負荷情報が充実しているボトルもありますね。より他のボトルとの差別化を図るための情報ですが、我々消費者にとってもそういった細かい情報が多くあると嬉しいですね。

下の写真はVALLEIN TERCINIER(ヴァランテルシニエ)のヴィンテージコニャック。Lot96という表記と1989年ヴィンテージ表記のシングルカスクコニャックです。どんな情報がラベルに記載されているか読み解いてみてください。

シングルカスクやヴィンテージボトルは情報が多く明記されているボトルが多いのが最近の流行
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裏ラベルにもビッシリと情報が・・・
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熟成年数表記に関して

任意項目1の「VSOP」や「XO」、その他ヴィンテージ表記などコニャックの熟成年数に関わる基準はコチラのページにまとめていますのでご参照下さい。以下簡単におさらいしておきます。既に知ってるよという方はスキップして下さい。

コニャックでよく見るVSやVSOP、ナポレオン、XOといった表記はコニャックの最低熟成年数に応じて定められている表記です。

「コント」という言葉を知っておこう

コニャックの周期は毎年4/1~翌年3月末日です。翌年3月末日までに蒸留を終えなければなりません。

3月末までに蒸留を終えたコニャックは熟成樽へと入れられます。

熟成年数の考え方としては「蒸留した年」から始まります。そして熟成年数の数え方は「コント(compte)」というワードを用います。

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多くのブランデーは、その商品コンセプトに従って、様々な熟成年数のブランデーが調合(ブレンド)されて最終的に瓶詰されます。実は単一の熟成年数のブランデーのみで出荷されるブランデーはほとんどありません。

その調合されたブランデーの中で最も若いブランデーの熟成年齢に従ってVSOPやXOといったランクの呼称が定められています。例えば4年熟成(VSOP)のコニャックと11年熟成(XO)のコニャックがブレンドされた場合、そのコニャックはVSOPクラスとなり、XOとは名乗れません。

VS・VSOP・XO以外の表記

その他にも有名処では「ナポレオン」という表記や、Très Vieux(トレヴィユー)、Hors d’âge(オルダージュ)、Héritage(ヘリテージ)といった表記をよく見かけます。実はこれらにもコントによる熟成年数の規定があります。以下がBNICによって定められている最低熟成年数別のコニャックの名称表記です(2020年4月時点)。

↓ラベル表記の最低熟成年数基準↓

  • コント2以上で許可される表記
    「VS(Very Special)」「3 Etoiles」「Sélection」「De Luxe」「Millésime」
  • コント3以上で許可される表記
    「Supérieur」「Cuvée Supérieure」「Qualité Supérieure」
  • コント4以上で許可される表記
    「V.S.O.P.( Very Superior Old Pale)」「Réserve」「Vieux」「Rare」「Royal」
  • コント5以上で許可される表記
    「Vieille Réserve」「Réserve Rare」「Réserve Royale」
  • コント6以上で許可される表記
    「Napoléon」「Très Vieille Réserve」「Très Vieux」 「Héritage」「Très Rare」「Excellence」「Suprême」
  • コント10以上で許可される表記
    「XO(Extra Old)」「Hors d’âge」「Extra」「Ancestral」「Ancêtre」「Or」「Gold」「Impérial」「XXO(Extra Extra Old)※」
    ※「XXO」は最低熟成14年を経たコニャックのみに適用可能

実態としては基準よりも長熟のものが多い

ここに記載しているのはあくまでもその表記基準を満たすための最低熟成年数であり、例えばXOだから全て10年!なんてことはありません。実態としてはこの最低熟成年数よりも長熟のコニャックであることがほとんどです。

最低基準さえ満たしていればどの表記を使用するかは生産者の自由です。

コニャックのヴィンテージ

コニャックは収穫年数表記のある所謂「ヴィンテージもの」のラインナップもあります。

コニャックではヴィンテージの正確性と品質を担保するため、ヴィンテージ年表記を行う場合はコニャックAOCを管理しているBNICによって「樽に蝋封をする」等の管理を行う必要があります。また状態確認などで封を解く場合はBNIC立ち合いの元行わなければならないといった厳しい条件が定められています。

抜け道的な熟成年数表記

ヴィンテージではなくとも消費者として気になるのは「結局これはどのくらいの熟成なの?」というところです。

そのためにVSOPやXOといった表記以外に具体的かつヴィンテージ表記の決まりに抵触しないように「Lot.94」や「No.20」といった表記を見かけます。

この数字はメーカーによっても意味が異なりますが、「最低でも19○○年以前の原酒がブレンドされていますよ」だったり「この熟成年数のコニャックがブレンドされていますよ」といった意味合いです。

ラベルを読んで生産者の意図をくみ取ろう

コニャックに限らずお酒のラベルは、このお酒を知らない人が見てもどんなお酒かを伝え生産者と消費者を繋げるとても重要な創作物です。

ラベルを見て生産者からのメッセージを受け取ったり、何を主張したいかを考えたり、そのお酒のことを理解することでよりそのコニャックに愛着がわいたりもします。

ラベルの読み方を知っておくことでもっとコニャックの楽しみ方が広がれば幸いです^^

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