カルヴァドスレビュー

さらに濃厚カルヴァドス:デュポン30年のレビュー

今回は以前レビューを行ったカルヴァドスのデュポン20年とセットで買ったデュポン30年です。前回のデュポン20年との比較用に購入した1本ですが、果たしてその真価はいかに・・・・。

デュポンの概要やデュポン20年の詳細は下記記事をご参照下さい。

濃厚カルヴァドス:デュポン20年のレビュー

デュポンの概要

カルヴァドスには「ペイドージュ」「ドンフロンテ」「カルヴァドスAOC」という3つの生産域があります。その中でもデュポンは「ペイドージュ」地区に存在。リンゴの栽培から発酵、蒸留、熟成、瓶詰を全て自社で行う家族経営のカルヴァドス生産者です。

参考記事
カルヴァドスの生産域や製法について

デュポンは約30ヘクタールの自社畑に約6000本のリンゴの木を所有しており、それらの原料から作られるカルヴァドスはアメリカを中心に多くのレストランやホテル、蒸留酒ファンに愛されています。

デュポンはカルヴァドス以外にもラインナップが多く存在し、シードルやリキュール、料理に使う香り付け用のスプレーなど様々な商品を展開しています。

デュポン30年の基本スペック

では早速今回のデュポン30年の基本情報を見て参りましょう。

カルヴァドス デュポン30年

容量:700ml
アルコール度数:41%
熟成年数:30年
生産域:カルヴァドス ペイドージュ
リンゴ品種:ビタースイート種85%、アシッド種15%
その他:ノンチルフィルタード
輸入業者:スリーリバース
購入価格:税込21,590円(2021年8月購入)

前回のデュポン20年のレビューでも述べたように、デュポンの特徴として他のカルヴァドスと比較するとかなり重厚感のある部類に入ります。これは20年もそうですし、30年、45年、50年といったデュポンの長熟ラインナップでも同様の傾向があります。

はたしてその進化の軌跡はいかに。そして後ほど20年と30年の比較も行ってまいりましょう^^

デュポン30年の香り立ち

コルクを開けた瞬間から部屋の中を満たしてくれる幸せなリンゴとチョコレート、マンゴーの香り。

もうこれだけでも十分にデュポンを味わう価値があります。そんな期待しかないスタートダッシュ。

20年の時はこの最初の香り立ちに少し渋さ・・・というかインク臭のようなものを感じましたが、今回の30年においてはその渋い香りが姿を潜め、明らかにドライフルーツと蜂蜜感が増し、より濃厚な体験をさせてくれるであろう予感が高まります。

グラスに注いだ後は先程の甘いマンゴーや蜂蜜感を含みながらも、20年で感じたようなイチゴ、青リンゴを強く感じます。そして何だろう、ずっと何の香りか迷っていましたが、これはスモモですね。スモモの絶妙な酸性の香りと甘い香りを併せ持つ不思議な感じです。

前半はフルーティーな甘い香りに身をよだねつつ、後半にはデュポンに特有の木のニュアンスはもちろん、"ちょうじ"やシダ、革といった良い感じに年を重ねた渋みを拾うことができます。

うむ、これは良いぞ。

デュポン30年の味わい

舌の上にじっとりと広がる重厚感。

干し柿のような絶妙な渋みと、ドライマンゴーの甘み。干しあんず。

舌の奥から鼻腔に広がる白コショウを中心としたスパイス感。秋の湿った落葉の森を歩くような独特の紅葉感。この辺りはデュポン20年で感じたものと同様のものをよりまろやかに、攻撃的で余分なアルコールのアタックを除いた感じです。

飲んだ直後と飲んで数分後の口の中なの印象が全く違うのもデュポンの特徴の一つ。直後の重厚な樽感とは異なり、その後数分間口の中に残り続けるのはメロンと蜂蜜、イチゴといった濃厚なフルーツ。20年の時よりも更に複雑さは増した印象。

この辺りの変化はさすがといったところ。

デュポン20年と30年の比較

デュポン20年と30年を飲み比べると、30年は基本的にはセオリー通りデュポン20年をさらに濃厚に、余分な刺激を除いて円やかに・・・と正当な進化を遂げたカルヴァドス。デュポンは年数が増すごとに樽感もフルーティーさも甘みも増し、どんどんまったりとオイリーさを増していきます。

左デュポン30年、右デュポン20年

デュポン30年は樽や木由来の濃厚なカルヴァドスが好きな方にはバシっとはまる1本でしょう。

逆にあえてネガティブな面を見ると、そのどっしりとした濃厚さ故に「くどさ」も感じてしまうのも正直なところ。まぁ意図的にテイスティングしない限り1日にグラス何杯もデュポン30年を飲むという状況は考えにくいので、そういった意味ではやはり最後の1杯としてとっておきたいカルヴァドス。

ちょっとフレッシュさを残しておきたいと方はデュポン20年の方が合っていると感じるかもしれません。

他の代表的なカルヴァドスと比較した場合、20年でも30年でもその立ち位置は変わらず、次のような住み分けになります。

フルーティー系
アドリアンカミュシャトードブルイユ

淡麗系
クリスチャンドルーアン

重厚(樽)系
デュポン

個人的な好みでいくと私は圧倒的にアドリアンカミュ派なのですが、そこはシチュエーション次第。

塩辛いものやオイリーなものを食べた後に最後の至福の1杯として手に取りたくなるカルヴァドス、そんなデュポン30年です。

デュポン 30年 41度 700ml

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