コニャックレビュー

フランソワ・ペイロー ヘリテージ 1958のレビュー:グランドシャンパーニュのヴィンテージコニャック

今回のレビューはグランドシャンパーニュの家族経営コニャック生産者フランソワ・ペイロー(Francois Peyrot)より「フランソワ・ペイロー ヘリテージ1958」です。

グランドシャンパーニュコニャックの中でもヴィンテージコニャックを毎年出している珍しい生産者ですが、果たしてその香味やいかに?

フランソワ・ペイローとヘリテージ

フランソワ・ペイローはグランドシャンパーニュ地区に25ヘクタールの自社畑を持ち、ブドウの栽培から発酵、蒸留、熟成、ボトリングを一貫して手掛ける生産者。いわゆるプロプリエテールです。

場所はジャルナック村から2kmほど南にある Logis des Bergeronnettes という場所↓

ここ数年、1958やLot60、Lot61、Lot62といったヴィンテージのラインナップが多く店頭に並んでいるフランソワ・ペイローですが、もともとペイローのこの「ヘリテージ」シリーズは30~50年熟成コニャックのブレンドであったり、45年熟成以上のヴィンテージ表記無しだったり、いくつかのパターンがありました。

蒸溜年を表記するシングルヴィンテージのラインナップが多く出てきたのはここ数年です。(2016年、2017年くらいから)のような気がしています・・・。

フランソワ・ペイロー ヘリテージ1958の基本情報

生産域:グランドシャンパーニュ100%
原料:ユニブラン・コロンバール
熟成年数:45年
アルコール度数:43%(加水なし)
容量:720ml
輸入元:ボリニジャパン株式会社
購入価格:税込21,750円(2022年2月)

フランソワ・ペイローのヴィンテージはシングルバレル1つだけのリリースではなく、リリース時期によって同ヴィンテージでもバッチが異なるものがあります。つまり同じ1958年蒸留でも樽違いの1958ヴィンテージがいくつか存在します。

私は2017年頃に同じくフランソワ・ペイロー1958を飲んだ事がありましたが、それと今回は別樽の1958となります。

その時のフランソワ・ペイロー ヘリテージ1958はアルコール度数43.3%表記だったのですが、今回のボトルは43%表記となっています。

確か初期にリリースされた1958ヴィンテージは2014年6月瓶詰のアルコール度数43.3%。その次にリリースされた1958がアルコール度数42.7%(M.B GC F.958)。そして今回の1958がアルコール度数43%です。あと「P.M.B GC F958」44.2%の1958ヴィンテージとかもあったりします。

他にもいくつか同ヴィンテージだけどアルコール度数違いやラベル違いは多々見かけるフランソワ・ペイローです。

ちなみに容量は700mlではなく720ml。ちょっとお得感あり(笑)

熟成年数は輸入元説明によると約45年。今回のは1958年蒸留で(おそらく)2019年瓶詰だったので、45年~50年熟成だとすると10年~15年くらいはディミジョン(コニャック保管のためのガラス瓶)に入っていた・・・ということになります。たぶん・・・たぶんね。(ちょっと確証がない)

フランソワ・ペイローヘリテージ1958の香り立ち

まずこのフランソワ・ペイロー1958は開栓直後と開栓5日後で感じ方が相当変わりました。

「開栓直後は固い」というのはよく聞く話ですが、ここまで顕著に差がでたコニャックは久しぶり。ここではより芳醇な香味を感じとれた開栓5日後の感想をツラツラと書いて参ります。

グラスに注いだ後のアルコール感はかなり少ない。ツンツンする嫌な感じは全く感じられません。

開栓直後もそうでしたが、香り立ちでまず目立つのは熟したレーズン・・・まぁブドウといえばブドウなのですが、なかなか良く香ってきます。

そしてほんの少しだけラベンダー。

その後にヴァニラ、アプリコットといったねっとり甘い系の香り。そしてチョコレートですね。ダークチョコではなくミルクチョコに近いのかもしれません。

約45年と超熟なコニャックですが、樽感や木といったスパイシーな印象は薄め。スパイス感といえば少しだけクローヴのようなものをグラスに近づけた際に感じることができます。

全体的にかなり優しめで大人しい香り立ち。

グランドシャンパーニュコニャックに良く見られるオレンジ系とはまた違った方向性です。

フランソワ・ペイローヘリテージ1958の味わい

オイリーさと重厚感はずっしりときます。

口に含んだ瞬間の砂糖漬けのオレンジ。そして黒ブドウ・・・巨峰ほどあまくないけど。

香り立ちで感じたチョコレートはまだ健在。あとキャラメル。黒糖。

やはり樽感という樽感は少なく、スパイシーさはかなり控えめ。

輸入元説明には「辛口」とありますが、私的にはどちらかというと甘口。この辛口というのは言い換えると「少しあっさり」ともとれるのかもしれません。

余韻としてはやや短め。

同じ50年熟成のグランドシャンパーニュコニャック、例えばラニョーサボラン フロリレージュやジャンフィユーレゼルヴファミリアル、フランソワ・ヴォワイエ エクストラなどと比べるとかなり落ち着いて控えめな印象を受けます。

上記コニャックのようにトロピカル感だったりピーチ感だったりパワフルな余韻が炸裂するといったタイプの長熟コニャックではありません。

別の言い方をすると優しく鼻に抜けるタイプ。非常にゆっくりと落ち着いたランシオというのでしょうか。

バランス型といえばバランス型なのですが、ひとによっては「スッキリしすぎ」「飽きやすい」といった意見が出るのもまぁ納得はできます。

ただ、フランソワ・ペイローのコニャックはVSOPやXO、他のヴィンテージも同傾向にあるので、基本的にペイローの系譜というのは「ランシオ炸裂系」というよりも「優しく包み込む系」コニャックという風に個性を理解していても良いのかもしれません。

フランソワ・ペイローヘリテージ1958まとめ

長熟のグランドシャンパーニュコニャックとしてはかなり優しい印象が残るフランソワ・ペイロー ヘリテージ1958

その優しがゆえに連続で飲むとついついスイスイとグラスが運んでしまいますが、たまに優しい1杯が欲しい時に飲むのが至高。

このフランソワ・ペイロー ヘリテージは異なるヴィンテージがいくつか出ているのがかなり面白いシリーズですので、次回はこの1958と(2022年2月時点で最新の)1962ヴィンテージを飲み比べてみようかと思います。

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