グラッパはブドウを原料としたイタリアでは定番の食後酒です。
2023年に国民的イタリアンレストランでもある某サイゼリヤでも数年ぶりにメニューとして復活し、徐々に知名度も上がってきているグラッパ。でもまだ意外と飲んだ事ないという人やグラッパとはどんなお酒?ワインやブランデーとはどう違うの?という方も多いかと思います。
今回はグラッパ入門編!ということでグラッパの基礎知識や他のお酒との違い、おすすめのグラッパやおすすめの飲み方を紹介して参ります。
グラッパとはどんなお酒?
まず抑えておきたいのは
「グラッパとはブドウの搾りかすで造る蒸留酒」
ということです。
グラッパはワインやブランデーと同じく、ブドウを原料とするお酒です。ただし、ワインや他のブランデーはブドウの果実や果汁を使うのに対し、グラッパはワインを作る過程でブドウから果汁を取り出すために圧搾した際に出る「搾りかす」がグラッパに使われます。
搾りかすは、主にブドウの皮と種の部分です。この搾りかすのことをイタリア語では「ヴィナッチャ」と呼びます。しわしわになった皮と種ですね。
この搾りかすを蒸留し作られるのがグラッパです。
グラッパと名乗れるのはイタリアだけ?
実は「グラッパ」と名乗るには様々な規定をクリアしなければなりません。これはある一定の製法・基準をクリアしグラッパの国際的な品質を保つためにEUおよびイタリアによって定められた法律のようなものです。
製法に関する規定を全て書くと膨大な量になってしまうのですが、入門として押さえておくべき点は次の2つ!!
①製造の全てをイタリア国内で行うこと
②原料にはブドウの搾りかすのみを使用すること
です。
グラッパはイタリアでしか作られない・・・ここは重要なポイントですね。
ちなみに、同じような製法で作られたお酒はイタリア以外にももちろん存在しますが違う名前で呼ばれています。例えばフランスだと「マール」、ドイツだと「トレスターブランド」、スペインだと「オルホ」・・・などです。
それぞれブドウの搾りかすを使うという製法は同じですが、生産国によって呼び方が異なるわけです。
グラッパのアルコール度数は?
グラッパはお酒の分類としては「蒸留酒」に属します。蒸留酒は原料を発酵させた醸造酒を更に蒸留することによってアルコール度数と香味を高めたものです。簡単に言うとワインやビールは醸造酒、ブランデーやウイスキーは蒸留酒に該当します。
グラッパの蒸留方法はいくつかありますが、ブドウの搾りかすを蒸留することでアルコール度数70度くらいの蒸留液が出来上がります。
アルコール度数70度と聞くとめちゃめちゃ強いお酒に感じますが、実際にはその後熟成や加水といったステップを得て最終的にはアルコール度数40度~50度くらいの状態で製品化されて消費者の手に渡ることになります。
最終的な商品のアルコール度数はブランドや商品によって様々ですが、一般的なグラッパのアルコール度数は40~45度の間が最も多い印象です。
※グラッパの規定では最低でもアルコール度数は37.5度以上である必要があります。
グラッパは熟成するのかしないのか?
グラッパは広義のカテゴリでは「ブランデー」の一種となります。ブランデーはフルーツを原料とした蒸留酒なのでその仲間の一つですね。
一般的にブランデーというと茶色や琥珀色をしたお酒をイメージされるのではないでしょうか?
この茶色や琥珀色はブランデーを木の樽で何年も長期間寝かせ熟成させる過程で樽の成分が染み出しこのような美しい色合いになります。
しかしながらグラッパの場合は大きく「透明なグラッパ」と「茶色がかったグラッパ」の2種類が存在します。
グラッパは元々木樽熟成させないで作るのが基本で、ステンレスタンクやガラス瓶で保管された無色透明なグラッパが一般的でした。しかし近年では他のブランデーと同じように色々な種類の木の樽で数ヶ月~数年熟成させるタイプのグラッパも多く存在し多様性をもつようになりました。
透明なグラッパはブドウ由来のフルーティーで華やかな素材そのものの味わいが楽しめます。樽熟成タイプのグラッパは透明グラッパにはない樽由来のウッディ要素や甘みを感じられますね。それぞれ違ったキャラクターがあるのでどちらも面白いです。
基本的には樽熟成グラッパの方が手間も期間もかかるので価格的には高くなる傾向にあります。
グラッパの基本の飲み方はストレート?おすすめの飲み方は?
グラッパ定番の飲み方はストレートです。イタリアでも食後酒として美味しい食事の後にゆっくりとアルコール度数の高いグラッパを飲み、食後の胃をスッキリさせる効果もあります。
Aamzonなどでグラッパの香りを最大限に活かしてくれるグラッパグラスも入手可能なので是非試してみて下さい。
しかしながらグラッパを試してみたいけどアルコール度数がキツいかも・・・という方もいらっしゃるかもしれません。そんな方にもおすすめの飲み方を紹介します。
グラッパ・ジンジャー
グラッパをジンジャーエールで割った飲み方です。比率はお好みですがグラッパ1:ジンジャーエール3くらいから始めてみるのが良いかもしれません。
ジンジャーエールはウィルキンソンの辛口ジンジャーエールなどしっかりとジンジャーの風味とスパイシーさがある辛口タイプがおすすめですね。普通のブランデーだと辛口ジンジャーエールで割るとブランデーの風味が負けてしまう場合もありますが、グラッパのように香味の強いブランデーと辛口ジンジャーエールの相性はバツグンです。
グラッパのブドウの芳醇な香りと刺激、ジンジャーエールのドライな辛みが双方の魅力を高めてくれます。
ちょっとひと手間かけてレモンスライスなんかを添えると更に良いですね!
カフェ・コレット
砂糖を溶かしたエスプレッソにグラッパを混ぜ合わせたカクテル。
エスプレッソとグラッパの相性はとてもよく、エスプレッソの苦味甘み酸味とグラッパのフルーティーな香りが想像以上の調和をもたらします。
エスプレッソの用意が難しいという方は濃いめのロースト感あるコーヒー(イタリアンロースト)などのインスタントコーヒーと合わせるのもアリですね!
レゼンティン
先ほどのカフェ・コレットは予めエスプレッソとグラッパを混ぜる飲み方でしたが、こちらの「レゼンティン」というのはエスプレッソを飲んだのグラスにグラッパを入れて楽しみます。
砂糖を多めに入れたエスプレッソを用意し、砂糖が全部溶け切らないうちに飲み干します。砂糖が少し残ったカップにグラッパを注ぎ、かき混ぜて飲むのがレゼンティン。砂糖とエスプレッソの香りで、グラッパの味わいに面白さと深みが出てきます。
グラッパとコーヒーの本場イタリアでもよく楽しまれている飲み方です。
コーラ×グラッパ×コーラ
少し熟成されたタイプのグラッパとの組み合わせが最高の飲み方です。
コーラーとグラッパを混ぜるのではなく、あくまでも別々に
コーラ→グラッパ→コーラという順に飲んでいきます。
ひとくち目①のコーラで少しスパイス感と甘みを残し、口の中を糖でコーティングした後、②グラッパを飲みます。これによりアルコールの刺激が緩和されグラッパがより円やかに。そして熟成グラッパの干し草感と香草感、コーラのスパイスが信じられないほどよい塩梅に鼻から抜けます。
その後③締めのコーラによりグラッパのスパイシーな余韻と鼻抜けを更に引き延ばし、口の中にエグみを残すことなくきれいにフィニッシュしてくれます。
この3段構えの飲み方がもうこの上ない至福。熟成タイプのグラッパにおいて超おすすめの飲み方です。
こちらに関しては詳しい記事を書いていますのでご覧ください。
→グラッパの最もおいしい飲み方が決定!
特に「シボーナ グラッパ マディラウッドフィニッシュ」との組み合わせが至高です。
初心者におすすめのグラッパ5選!
結局おすすめのグラッパはどれなの?
ということで私が初心者におすすめするグラッパ5選を紹介します。
シボーナ ネッビオーロ
まずは定番の透明グラッパとしておすすめしたいのが、こちらのシボーナ ネッビオーロ。
シボーナ社はイタリア・ピエモンテ州アルバ近郊で100年以上にわたり高品質のグラッパをつくり続けているブランドです。こちらはイタリアのロエロ地方で造られたネッビオーロ種の搾りかすを使って作られたグラッパです。
ドライで辛口な仕上がりで、透明グラッパの入門としてはちょうどよいかもしれません。
シボーナ グラッパ マディラウッドフィニッシュ
品質、コスパ共に熟成グラッパでダントツのおすすめはこちらのシボーナ グラッパ マディラウッドフィニッシュ。
マディラワインの長期間の熟成に使用された樽で熟成されたウイスキーに使われた樽を使って数ヶ月熟成されたグラッパです。(ややこしいですね笑)
グラッパのトゲトゲしさはほとんどなく、ブドウ由来のフルーティーさに加えて、樽からくるモルト、ピーナッツバターのような香り、そして少しのウッディ要素が円やかなグラッパに仕上げてくれます。
飲み方で紹介した「コーラ×グラッパ×コーラ」に最適なグラッパです。
ベルタ トレ ソーリ トレ
こちらは少し価格帯が上がりますが、長期熟成を経た高級グラッパ「ベルタ トレ ソーリ トレ」。ベルタ社のグラッパは様々な種類のブドウの搾りかすを使って作ったグラッパを長期的に木樽で熟成させ高品質な熟成グラッパを作ることで有名なブランドです。
ちなみに 「トレ・ソーレ・トレ」とは3ヵ所の畑から採れたヴィナッチャ(ブドウの絞りかす)を使用する事から(=トレ)、太陽の恵みがグラッパに力強さを与えてくれる(=ソーレ)から名づけられているそうです。
バローロ及びバルバレスコのネッビオーロ100%使用。蒸留後、ミディアムトーストしたアリエ・トロンセ産225Lのバリックで7年3ヶ月間熟成しています。
ヴィンテージは各年代によって異なりますが、その品質は折り紙付き。私もお気に入りの1本です。
こちらは是非ストレート、または辛口ジンジャーエール割りで楽しんで頂きたいですね。
参考記事
→グラッパ原点回帰:ベルタ トレ・ソーリ・トレを再び味わう
グラッパとは?まとめ
さて、ここまで「グラッパとは?」について基礎となる内容を書いていきましたが、いかがでしたでしょうか?
ポイントをまとめるとすると次の点ですね。
- グラッパとはブドウの搾りかすで造る蒸留酒
- 製造の全てをイタリア国内で行うこと
- グラッパと同じようなお酒はフランスでは「マール」と呼ばれる
- 透明なグラッパと木樽熟成の色付きグラッパがある
- 私のおすすめは「シボーナ グラッパ マディラウッドフィニッシュ」
それでは皆さんも是非グラッパを楽しんでみて下さい!