コニャックレビュー

ジャンフィユー トレヴィユー XO エクストラのレビュー・感想

今回レビューを行うのは、コニャックを飲み始めた方が必ず一度は検討するであろうコニャック「ジャンフィユー トレヴィユー」です。

1万円以下のグランドシャンパーニュコニャックとしてはもはや定番(?)でもあるこのコニャック。改めてその中身に迫っていきましょう。

葡萄から瓶詰めまで一貫した一流生産者

ジャンフィユー (Jean Fillioux) は原料となる葡萄の栽培から収穫、蒸留、熟成、ボトリングまで全て自社で行っているコニャックブランドです。全ての工程を一貫して自社で行う、いわゆるプロプリエテールと呼ばれる小規模生産者のひとつです。

ジャンフィユー(Jean Fillioux)という名前はこのコニャックブランドを作っているFillioux一家の先代の当主のお名前です。現当主はその息子にあたるクリストフ フィユー氏です。

ジャンフィユーの公式サイトはコチラから

ジャンフィユーは自社も畑も、大変華やかで高品質なコニャックが造られる代表エリア「グランドシャンパーニュ」地区に25ha程の畑を所有しており、そこで原料となる葡萄を栽培しています。ています。

最高の生産者が集まる街「スゴンザック(Segonzac)」より少し離れたJuillac-le-Coq(ジュイヤックルコック)という場所にジャンフィユーは位置します。

↓ジャンフィユーの場所はコチラ↓

若いコニャックから長塾のコニャックまで幅広く高品位なコニャック生産者として日本国内でも大きな人気を誇ります。

コニャックエデュケーターの鯉沼康泰氏がジャンフィユー家と一緒に日本市場向けに樽を厳選しボトリングした「ジャンフィユー CFシリーズ」もありますね。私も大好きです。

ジャンフィユートレヴィユーの基本スペック

ジャンフィユー トレヴィユー XO エクストラ

容量:700ml
アルコール度数:40%
熟成年数:約20年~25年のブレンド
規格:グランドシャンパーニュ100%
輸入業者:有限会社ウィック
購入価格:税込8,430円(2021年5月購入)

昔は「XO エクストラ」表記はなかった?

実はこのジャンフィユー トレヴィユー、2015年頃までに流通しているボトルには「XO エクストラ(XO EXTRA)」の表記がありませんでした。

↑2015年頃に流通していたボトルはXO EXTRAの表記がない

とあるタイミングでジャンフィユーのボトルが全体的にラベルデザインの変更を行ったのですが、そのタイミングで「XO エクストラ」が商品名およびラベルに記載されるようになりました。昔流通していた緑のフロスティボトルも同様でXOエクストラの表記なしです。

これはジャンフィユーの当主が現在のクリストフフィユー氏に代わったタイミングでの出来事なのですが、このトレヴィユーの他に、一つ熟成年数の下がる「ジャンフィユー セプドール」も「XO Selection」の文字が加わっています。こちらも2015年あたりの古いボトルだとXO Selection の表記はありません。

XOの最低基準である熟成10年以上を経ている両ボトルを「Selection」と「EXTRA」で分けた形ですね。

どうでもいいですが、XO自体が「Extra Old」の略なので、XO エクストラだと「Extra Old Extra」って感じで何か意味が重複しているようにも感じるのですが・・・まぁいいか。

ジャンフィユーのような小規模生産者は過去の傾向として「XO」や「VSOP」といった表記を避ける傾向にあったのですが、 最近はより分かりやすい表記にシフトしつつあるように見受けられます。現当主のクリストフ氏になって以来、ジャンフィユーはこれまでよりもコラボボトルやボトラーズ商品、各国限定のボトルを多くリリースするようになりました。より世界展開を意識しているようにも見受けられ、その影響もあるのかと思います。

ブランデー初心者にもおすすめのボトル

今回のジャンフィユー トレヴィユーはコチラの「ブランデー初心者に本当におすすめのブランデーは?」第5位にも登場させているように、1万円以下で初めてブランデーを買う方にもおすすめできる1本です。

  • 一定の基準に従って作られるフランスのブランデー「コニャック」である
  • 高品質で長期熟成が可能な生産域「グランドシャンパーニュ」100%のコニャックである
  • 原料の葡萄の栽培から蒸留・熟成・瓶詰めまで一貫して行うプロプリエテール
  • 家族代々コニャック生産者で、バツグンの官能評価と技術をもった生産者
  • およそ20~25年熟成というクラスにも関わらず、1万円以下という価格帯

このあたりが主な理由です。特に価格に対するクオリティは非常に高いコニャックの一つと言えるでしょう。

香り立ち

今回は抜栓して2週間程経ったボトルでのレビューです。

コルクを開けるとほのかに漂うイチジク。これはグラスに注ぐ前に感じることができます。

グラスに注ぐと様々な要素が絡み合います。

ドライイチゴ、洋ナシ、バニラの香り立ちを中心に、乾いた樫の木、白コショウといったややスパイス感のある要素も出現します。

少し時間を置くと、より甘みを増した洋ナシ・・・洋ナシのコンポートといった方がいいでしょうか。その後からキャラメル感が追いかけてきます。

ややアルコール感は残るものの、フルーティーさ、スパイス感、甘みのバランスが上手くとれた香り立ちだと感じます。

味わい

口に含むと、やや樽の要素を感じる渋みからスタート。

その後は蜂蜜、カカオ90%くらいのビターなチョコレートと程よい酸味。花に抜けるのはシダ植物が生い茂るような森の香り。

飲みこんだ後もしばらく舌の上にはオイリーさが残り、しばらくバニラの余韻を楽しむことができます。

飲み始めは香り立ちで感じた洋ナシやイチゴのようなフルーツ感は少ないですが、しばらくすると少し桃のような要素を感じることができるようになります。

同じくらいの熟成年数を経たコニャックと比較すると 華やかさというよりも重厚感に重きを置いたコニャックのように感じます。そういった意味ではグランドシャンパーニュコニャックにイメージされるパンチ力とオレンジ系の広がりは少し控えめかもしれません。

もちろん味わいや余韻は50年熟成越えのジャンフィユー レゼルヴファミリアルの方が圧倒的ではありますが、土台には共通したものを感じることができます。

ジャンフィユーはセプドールトレヴィユーレゼルヴファミリアルと熟成年数が増すにつれ、味わいの系統は同一方向でちゃんと香りと味わいの複雑さと余韻の長さが順当にレベルが高くなるコニャックです。そしてその中間にあるこのジャンフィユー トレヴィユーはレゼルヴファミリアルを味わう一歩手前、そしてレゼルヴファミリアルを味わった後に戻るボトルとして両方の楽しみ方ができるとても楽しい存在です。

他の20~25年熟成のコニャックと比較すると・・・

このジャンフィユー トレヴィユーとの比較対象として面白いのは、同じく小規模生産者である次のコニャック達です。

ラニョーサボラン レゼルヴスペシャルNo20
レイモンラニョー エクストラヴィユー
ポールジロー エクストラヴィユー
ダニエルブージュ エンペラーXO

ラニョーサボラン レゼルヴスペシャルとレイモンラニョー エクストラヴィユー

それぞれ、どれも

  • 平均熟成20~25年
  • およそ1万円以下
  • グランドシャンパーニュ100%

という似たような条件を兼ね備えたコニャックであるにも関わらず、味わいの方向性がそれぞれ大きく異なるコニャック。日本国内で流通しているコニャックとしては飲み比べも最適なラインナップだと思います。

これらを比較するとその中でもジャンフィユー トレヴィユーは「黒糖感」「濃い」といったワードが当てはまるコニャックかもしれません。

この代表コニャック達の飲み比べは改めて別記事にて実践して参りたいと思いますのでお楽しみに^^

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