今年2018年4月からコニャックにおけるXOの最低熟成年数基準が6年→10年に引き上げられたことは記憶に新しいですが、それに伴うコニャックの新カテゴリ「XXO」について触れてみようと思います。
【参考記事】
→2018年4月1日からコニャックXOクラスの熟成年数基準が変更
→ブランデーのVSOPやXOの種類の違いって何?
「XXO」の読み方?
XXOはその名の通り「エックス・エックス・オー」と発音します。「Extra Extra Old」の略です。
その定義や背景は後述します。
ヘネシーのXXOコニャック発売がキッカケ?
大きく事が動いたのは昨年2017年の事。
2017年8月にヘネシーが新しいコニャック「ヘネシーXXO オルダージュ (Hennessy XXO Hors d'Age)」というコニャックをリリースしました。シンガポール空港の免税店を封切りに、一気に注目を浴びたこのコニャックは、「ヘネシーXOを超えるスペシャルなXO」という意味合いでアジアを中心にリリースされまいした。
このXXOコニャックは大元を辿れば19世紀末、1872年まで歴史を遡ります。
1872年、ヘネシーは一度「ヘネシーX.X.O」というコニャックをリリースした事があります。(飲んだ事ないけど)
この旧XXOコニャックはその後1930年に製造中止となりましたが、近年ヘネシーが160万ユーロ(約2億円)かけて再開発し、昨年満を持してリリースされたのです。
しかし、その後当然のように「そんなカテゴリは存在しない!」と議論になり、市場の混乱を招くとしてXXO名称の使用を止めざるを得ない状況になります。
その後一転してXXOの許可が・・・
その後、ヘネシー(というかLMVHグループ)が裁判所やら何やらに訴え続けた結果、何と今年2018年末から正式に「XXO」というコニャックのカテゴリが採用される予定となりました!!!
マ ジ か 。
INAO(国立原産地名称研究所)とも色々揉めたようで・・・。
当然、この基準が公に認められると、ヘネシーに原酒を提供している農家もXXO用の原酒を新しく用意する必要があったり、色々と影響がありそうです。
にしてもやっぱコニャック全体の売上4割くらいを牛耳っている業界TOPのヘネシー(というかLVMHグループ)の影響力は凄いですね。
数年前、実はあのコニャックメーカー「Otard(オタール)」もXXOとラベルを着けたコニャックを中国市場に出そうとしたことがあるそうです。その時は「やりすぎ」という事で中国市場からも批判を受け、失敗した事があるそうですが、今回は上手く(?)世に出すことができたようですね。
XXOカテゴリの基準とは
現在、細かな基準は議論中で、正式な発表は2018年末になるようですが、大枠としては
ブレンドされている原酒の最低熟成年数が14年を超えている
という事が基準となるようです。
実態として市場に出回っている「XO」クラスのコニャックは最低熟成年数15年以上であることがほとんどです。
実際にはほとんどのXOコニャックが「XXO」を名乗れるようになる事になります。
ただ、フランスコニャック協会の意図としては
「XOよりもプレミアムだと思うコニャックにはXXOって名乗ってもいいよ~」
という感じで、実際にXXOと名乗るかどうかは各メーカーや生産者の判断に委ねられます。この名称自体に強制力はありません。
公に「XXOと名乗ってもOK」という事になった、ことです。
今後のコニャックマーケティング
このXXOカテゴリという新基準はまだまだ世に出たばかりで、各メーカーがどのような使い方をするのか、果たして本当に浸透するのか、全く未知数な所があります。
新しいものを出そうとしすぎて、若干迷走気味な感じもするのですが・・・。
果たして他の大手はどのような動きにでるのでしょうか。特にXXOと因縁のあるオタールとか。そしてヘネシーと対を成すプロプリエテールコニャック達の反応は・・・。
にしても、色々とやり過ぎじゃないですかねぇ ヘネシーさん。