前回、コチラの記事で書いたように、ちょっと珍しいミズナラ樽でフィニッシュさせたPark Cognac Mizunara Japanese Oak Cask Finishiと、同じくPark cognacのボルドリ ナポレオンをフランスから取り寄せました。
そしてようやく手元に届きました。フランスから約1週間です。予想よりも早く届いてよかったー^^ さっそくそのレビューをば。
まずはジャパニーズウイスキーファンにもコニャックに興味を持ってもらう事を目的に作られたミズナラコニャックからです。
次回の記事でナポレオンの方も書きます。
果たして「ジャパニーズウイスキーファンにもおすすめできるブランデー!」となり得るのでしょうか?
Park Cognacの外観
まずはごっつい段ボールでフランスから届きました。
開封の儀。
・・・
・・・
うぉーい!
ボトル逆さまやんけ(笑
この状態で2、3日部屋に置いてました。
気を取り直して・・・
左がミズナラフィニッシュのコニャック。
右がナポレオン。どちらもボルドリ産の原酒のみを使用しているシングルクリュコニャックです。私がここ最近傾斜しつつあるボルドリコニャックです。うーん、これは運命を感じざるを得ない。
ミズナラコニャックの方は化粧箱は付いていません。そのままプチプチに包まれて入っていました。
ミズナラコニャックの外観
この手書き感あふれる「ミズナラ」の文字がいい味出してますね。
コルクの封にもミズナラ主張。
ボトルはやや太めの仕様になっており、これも他のコニャックラインナップとの差別化のためだとか。ウイスキーを彷彿とさせるため・・・とのことですが、どっちかというとラムっぽいボトルですね?
ちなみに、このParkミズナラコニャックの生産本数は2250本。樽4個分くらいでしょうか。私の元にやってきたロットは292でした。
Park ミズナラコニャックのスペック
このミズナラコニャック、気になることが沢山あったので、メーカーにも問い合わせてみました。
熟成年数は?
前回の記事で、「価格的に15くらかな~」とか言ってたのですが、すみません、全然違いました。
確認したところ、熟成年数は4年との事でした。
予想以上に若かった。・・・つーか買う前に確認しとけよ自分。
4年熟成で80ユーロ(約1万円ちょい)です。
ちょっと割高かなぁ~・・・とも思いますが、ミズナラ樽自体希少・高価で管理も難しいので、そこにコストかけてるのであれば、まぁ分からなくもないかなぁ。。。
フィニッシュ期間は?
ミズナラ樽でのフィニッシュ期間は6ヵ月だそうです。
リムーザンオークで4年熟成させた後、6ヵ月間ミズナラに入れています。
ミズナラは新樽?古樽?
新樽を使っているそうです。
ミズナラの樽香や特徴を活かすため、新樽を使用し、よくミズナラの成分が出るようにしています。
ミズナラは元々お香系の香りがキツクなりやすい傾向にありますが、フィニッシュだけミズナラを使うのであれば新樽で樽香を利かせた方がミズナラ感をUPさせるのには効果的です。
ミズナラは本当に日本製?
Japanese Mizunara Oakと謳っていますが、本当に日本から輸入したミズナラを使っているのか?それとも何か濁しているのか・・・?
これは現在確認中です。回答がき次第追記したいと思います。
2019年9月追記
ミズナラ樽はこのパークコニャック用に京都の有明産業が作った樽をフランスに送って使用しているとの回答を得ました。ちゃんと日本製だった!!
コニャックAOC的にミズナラはOKなの?
コニャックはAOCによって厳密に作り方が決まっています。
熟成においては基本的にリムーザン産オーク、トロンセオークを使用することが原則ですが、フィニッシュにおいてはシェリー樽などを使う事も一部認められています。
ただ、フィニッシュにミズナラでもOKという表記は見た事なかったので、本当にOKなの?しかもJapanese ミズナラ。
こちらも現在確認中。正確な回答が届き次第追記します。
でもまぁちゃんとラベルにもCognacって書いてるし、メーカー側もCognacとして出してるから・・・OKだったのでしょう多分。
2019年9月追記
Congac Parkに直接確認しました。2019年2月にBNICから正式に「コニャック」を名乗っていいと許可が出たそうです。それまではややグレーだったそうで・・。
ポイント
フレンチオーク以外の樽を使ったフィニッシュに関して
2019年12月時点でのBNIC(フランスコニャック協会)の規定としては、マーテル ブルースウィフトのバーボン古樽ように他のスピリッツで使用済みの樽を使ってフィニッシュをかけた場合はコニャックとは認められず、フレンチオーク以外でも未使用の新樽でのフィニッシュであればコニャックとしてはOKだそうです。
なのでブルースウィフトはコニャックとしては不認可で、Cognac Parkのミズナラ樽フィニッシュは今のところコニャックとして認可が出ている模様。ただし、フィニッシュ期間の規定は今のところ曖昧で、最大でも1年を目安としているらしい。
現時点ではまだブレの多い規定であり、今後この規定は変更される可能性も無きにしも非ずといったところです。
Parkミズナラ コニャックの味わい
最初のひと嗅ぎからこれまでのコニャックとはやや違う感じが漂います。
ただ、ミズナラ特有の沈香の香りかと言われると、それも違う気がする。
doux barオーナーの横井氏にも飲んで頂いたのですが、横井氏の言うように、どちらかというと洋ナシ系の香りが強く感じられます。あとちょっとだけバニラ香。最初の香り立ちと、飲んだ瞬間は洋ナシ入りで有名なポワールウィリアムスに近い感じ。
これがミズナラで半年寝かせ化学変化を起こしたコニャックの香味なのか。なんか新鮮。
味わい自体は結構甘め。蜂蜜感。
さすがにまだ4年熟成で若いとうこともあり、口の中の余韻をずっと楽しむというよりも、スッキリさっぱりと流れていきます。
一応ボルドリ産コニャックということですが、飲んだ直後はボルドリ特有のスミレ系フローラルな香り味わいはしませんでした。しかし、飲みながら話して10分、15分と経つうちに徐々に味わいの変化が。
本来のボルドりっぽさが全面に出てきた印象です。
まだ抜栓して間もないというこもありますが、注いだ直後と15分後の香り立ち、味わいの変化が良く目立つコニャックでした。
でもこれ4年半との熟成です。
それにしては他の4年~5年といった若いコニャックと比べるとえらく落ち着いた熟成感のある味わいに仕上がっており、とても4年半とは思えない甘味。
アルコール度数は43.5%なので、加水はされているのですが、この濃い色味はミズナラの新樽を使ったおかげか、カラメル使っているのかはちょっと不明。
2019年9月追記
生産者に直接伺ったところ、Parkボルドリミズナラは一切の加糖・カラメル添加無し、ということを確認しました。ミズナラ新樽の色合いが強いです。
他の方々からは・・・
色々書きましたが、私自身、ミズナラを使ったウイスキーを多く飲んだことがあるわけでもなく、何を以て「ミズナラ感がある」と言えるか若干分かっていない部分もあります。
なので、今回はウイスキー好きの方、ウイスキーに長けた方々、某モルトバーのオーナーさん等、何人か飲んで頂きました。その感想を要約すると・・・
「うーん、ミズナラ・・・ではない。というか我々日本人が感じるミズナラウイスキーのミズナラ感とはちょっとズレてるような気がする。」
「ミズナラ香というよりも、コニャック自体の香りが強いので、そこまでミズナラ感は前面に出てない感じ。白檀、伽羅といった独特のお香っぽさは出てないね。」
「ボトルと一緒に出して話題性を楽しむ感じ。」
というなかなか厳しい評価を頂きました(笑
Park ミズナラ コニャックはウイスキーファンにおすすめできるか?
結論から言うと「ちょっと難しいかもしれない」というところ。
うーん、何とも微妙な結果に(笑
でもミズナラを使ったコニャックであることと、ジャパニーズウイスキーファンを意識して作られたことで、やはり話題性はありますし、初見では「お、これ何だろ?」となる事は間違いありません。
パッケージの「ミズナラ」のインパクトが相まって、「ん?ミズナラっぽい・・・かも?」という一種のプラシーボ効果的なものもあるでしょう。それも含めて楽しめるかどうかです。
企画ものである感は否めませんが、決してネガティブな意味ではありません。
コニャックAOCの規格内でどこまでイノベーションと話題性を発揮できるかに挑戦し、これからの可能性を開拓したこのコニャックは称賛されるべきでしょう。
伝統を守りつつ、新しいことに挑戦する。これほど難しいことはありません。
おそらくこのような試みは数十年前にも色々とあったかもしれません。
しかし、WEBも発達し、どこにいても世界中の情報が手に入る時代にこのような事に取り組む、ということに意味があります。
情報発信力とその情報を受信できる分母が違います。私もたまたまネットサーフィンしてるところでこのミズナラコニャックの存在を知ったので・・。
今回のParkミズナラコニャックは熟成年数も若く、まだまだ実験的商品の域を出ていませんが、これをきっかけに様々なコニャックの可能性が広がるとよいですね。
挑戦なくして革新なし。革新なくして未来なし?
大手メーカーも色々とフィニッシュ用の樽を変えた商品を出してきてるみたいだし・・・。伝統とは生き物である。
今後の商品開発から目が離せません。
2019/12/27記事追加: Cognac Parkに訪問してきました!
→コニャック滞在記⑦:Coganc Parkの全てを語ろう(1)ボトリングラインと蒸留
→コニャック滞在記⑧:Coganc Parkの全てを語ろう(2)なぜミズナラコニャックは生まれたのか?