今回レビューを行うのは、コニャックの海外オンラインショップCognac Expertがコニャック生産者とコラボしてリリースするオリジナルボトルコニャック「L'ESSENTIEL」シリーズより。今回はMarancheville(マホンシュヴィル)とのコラボで、グランドシャンパーニュ100%、約45年熟成の長熟コニャックです。
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Cognac Expertのメンバーから個人的に私宛に30ml小瓶でサンプルが送られてきたので早速頂いてみようと思います^^
生産者はMarancheville(マホンシュヴィル)
このL'ESSENTIELシリーズはCognac Expertの主要メンバーがコニャックの生産者とコラボして樽詰めしたものです。年に数回リリースが行われています。
過去のリリースボトルには下記の数々の一級生産者とのコラボボトルがあります。
ちなみに前々回のリリースでもある「Giboin(ジボアン)」のボルドリ100%コニャックのレビューはコチラから。
今回のコラボ先であるMarancheville(マホンシュヴィル)は、もともとクルボアジェ向けに原酒を提供していた専門蒸留家。蒸留のみをメインとしてきた生産者ですが、2015年頃より自社ブランドMaranchevilleをスタート!これまで3つのスタンダードラインナップといくつかの限定リリースを行っている注目の生産者です。
2018年にコニャックに訪問した際に私もお世話になった生産者です。合計19基の蒸留器が圧巻でした。
そして彼らはクルボアジェに原酒を提供すると同時に多くの樽も保有しています。熟成庫の保有数は何と15か所。めちゃめちゃ多いです。97%~99%は他社に提供するための樽ですが、そのうち1~3%だけ自社ブランド用に貴重な原酒が保管されています。
Maranchevilleへの訪問記はコチラの記事に詳細がありますので、是非ご一読下さい^^
そんな中、今回選ばれたのはCask No 60L1、No 60L2、No 60L3という3つの樽。樽の容量はそれぞれ60リットルという極小サイズの古樽です。(通常コニャックの熟成樽は350リットル~400リットル)
商品ページに小樽での熟成期間は明記されていませんが、Maranchevilleの代表であるGrégoireに直接メッセージして聞いたところ、約10年程この60リットル樽で眠っているとのこと。ただ、小樽で熟成を進めるということはそれだけ液体に触れる面積が大きくなるためタンニンなど樽の影響が大きく出やすくなります。あまり大きな影響で渋くなるのを防ぐためにこの小樽は結構な古樽が使用されているとのことです。
使用目的はあくまでも熟成プロセスを加速させ、渋みを生まずによりグランドシャンパーニュらしい柑橘感あるコニャックを産み出すため・・・とのことです。まぁちょっとコンセプトが良く分からない部分はありますが、このコニャックの生産経緯としては面白いですね。
2019年に飲んでいた私
この話を聞いていて、ふと思い出したのですが、よくよく昔の写真を見返してみると2019年にCognacに行きMaranchevilleに訪問した際に、この小樽の中身をテイスティングさせてもらってました私(笑)
その時の写真がコチラ↓
この時の会話のメモを見る限り「このコニャックはいずれEXTRAクラスの限定生産コニャックとして出す予定」と言っていました。それが今回のL'ESSENTIEL A45コニャックになったわけです。今思えば貴重な体験をさせて貰っていたのですね。(味わった時のテイスティングメモが残ってなかった・・・・)
そんな興味深い今回のボトルですが、果たしてその香味やいかに・・・。
L'ESSENTIEL A45 Maranchevilleの基本スペック情報
まずは今回のサンプルでもらったボトルの基本情報を記載します。コニャックファン向けにCognac Expertが詰めたボトルということだけあって、前回同様にどういったボトルなのか割と詳細な情報が公表されています。
生産者: Marancheville
生産域:グランドシャンパーニュ100%
ブドウ品種:ユニブラン100%
アルコール度数:42.8%
ボトリング数:175本限定
カスクNo:No 60L1、No 60L2、No 60L3
カスク容量:それぞれ60リットルのスモールバレル
熟成年数:約45年
最終加水年:2012年
その他:ノンチルフィルタード、ノンシュガー、ノンキャラメル
それでは早速頂いていきましょう。
L'ESSENTIEL A45 Maranchevilleの香り立ち
注ぎたてはやや香り立ちが乏しいようにも思えましたが、注いで10分程経つとオレンジ・蜂蜜といった長熟グランドシャンパーニュコニャックを代表する香り立ちを楽しむことができます。
マンゴーや白桃といった南国フルーツの要素も。
樽香やスパイス感は少な目でかなりクリアな印象を受けます。このクリアさはほのかに香るミントのような香気からくるものかもしれません。
ウッディさを控えめにした分、樽由来の複雑性は少な目ですが、全体的に綺麗で透き通った果実味溢れる香り立ちが特徴的です。
L'ESSENTIEL A45 Maranchevilleの味わい
はずは最初に感じる長熟ながらも瑞々しいフレッシュなオレンジ。意外とフレッシュなグレープフルーツ。
20分程グラスに入れて放置するとほのかに余韻の段階でマンゴーのような甘味とパッションフルーツに近い酸味を拾うこともできる。
香り立ちで感じた時よりもやや際立つウッディさはありますが、60リットルという小樽に入っていたとは思えないくらいクリア。逆にいうと60リットル樽の個性をどこに見出すかがやや難しいのですが(笑)スパイス要素も程よく感じますが、変な樽樽しさは全くなく意外なほどクリア。
そして確実にそこにいる香りでも感じたミント。ややケミカルでスゥーっとする要素もある。
余韻は中程度でやや単調なところが気になります。正直グランドシャンパーニュで45年という熟成年数を考えると香り立ちで感じた南国フルーツ感がもう少し欲しいところではありました。
柑橘感あふれる良いグランドシャンパーニュコニャックであることは確かな1本。ただ、60リットル樽の特徴を活かしたウッディさと複雑性がもう少しあってもよかったのかなという印象。
L'ESSENTIEL A45 Maranchevilleまとめ
香り立ちはまさにグランドシャンパーニュの柑橘系フルーティーさが炸裂する1本。とても優等生。
決して悪いボトルではないですが、他の45年熟成のコニャックと比較した際にもう一歩何か味わいに突出した個性が欲しいところ。
クリアな味わいのグランドシャンパーニュコニャックが好きな方には刺さるコニャックだとは思います。
私としては次回のL'ESSENTIELシリーズに期待したいところ。
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